進歩性

特許法第29条第2項に規定された当業者が容易に想到できる発明は、進歩性違反であるとして拒絶理由にあたります。今回は、主に進歩性が争われ、進歩性違反が維持された事件を紹介します(令和 5年 (ワ) 70035号 特許権侵害損害賠償請求事件)。

進歩性の判断に当たり、従来技術との一致点・相違点とを認定し、相違点を当業者が容易想到であるか否かについて判断します。令和 5年 (ワ) 70035号 特許権侵害損害賠償請求事件では、主引例と、出願日より前の技術常識(複数の特許文献)とに基づいて、進歩性が否定されました。

(要旨)乙6発明の通信部12は、 アンテナ12a及び受信信号の復調機能を有している。そうすると、本件特許の優先日当時、乙6発明に接し ) た当業者にとって、乙6発明に前記アの技術常識を適用し、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を外部から取り込むための構成として、通信部12が当該画像情報を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、CPU11に送信し、CPU11が当該デジタル信号を受信するとの相違点①に係る構成を想到することは容易であったということができる。乙6発明に前記アの技術常識を適用し、簡易型液晶表示パネル23では明 瞭に表示できない画像情報を簡易型液晶表示パネル23に表示するに当たり、簡易型液晶表示パネル23の画面解像度と同じ解像度を有する画像 のビットマップデータを読み出すという相違点②に係る構成を想到する ことは容易であったということができる。

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