間接侵害

特許法101条1号(のみ品)や2号(課題解決に不可欠なもの)は、直接侵害を誘発する蓋然性が極めて高い一定の行為に限り特許権の侵害とみなすものです(間接侵害)。今回は、一部の被告製品が、特許法101条2号(課題解決に不可欠なもの)に該当すると判断された事例を紹介します(令和5年(ワ)第70402号 特許権侵害差止等請求事件)。この条項は、課題解決に不可欠なものに加え、汎用品でないことと、発明品であることを知っているとの要件が課されます。

(要旨)これを被告製品1ないし3についてみると、その上部材である被告製品1-1、2-1及び3-1は、蓋部材を軒樋の底面からの所定の高さの位置に設定することで取り付け作業を容易にするとともに、優れたサイフォン性能を発揮するという効果を直接もたらす排水部材であるといえることからすると、従来技術の課題を解決する特徴的技術手段を特徴付ける特有の構成を直接もたらす特徴的な物であると認めるのが相当である。他方、その下部材である被告製品1-2、2-2及び3-2は、その上部材との組み合わせには必要不可欠なものではあるものの、それ自体に特徴があるものとはいえず、上記特有の構成を直接もたらす特徴的な物であるということはできない。したがって、被告製品1ないし3のうち、被告製品1-1、2-1及び3-1に限り、本件発明2-7ないし2-9の「発明による課題の解決に不可欠なもの」(特許法101条2号)であると認めるのが相当である。
(イ) 日本国内において広く一般に流通しているもの
特許法101条2号の「日本国内において広く一般に流通しているもの」とは、特注品ではなく、他の用途にも用いることができ、市場において一般に入手可能な状態にある規格品、普及品を意味するものと解すべきことは、前記において説示したとおりである。これを被告製品1-1、2-1及び3-1についてみると、証拠(甲6の2)によれば、被告製品1-1、2-1及び3-1は、被告パナソニックの「大型雨とい高排水システム」の専用部材として販売されていることが認められる。そうすると、被告製品1-1、2-1及び3-1は、特注品であり、他の用途にも用いることができるものとはいえない。したがって、被告製品1-1、2-1及び3-1は、同号の「日本国内において広く一般に流通しているもの」であると認めることはできない。
(ウ) 発明が特許発明であること及びその物が発明の実施に用いられることを知りながら
a 発明が特許発明であることを知りながら
証拠(甲6の2、甲11、甲12、甲45、甲48、乙A9ないし乙A11、丙2)及び弁論の全趣旨によれば、被告パナソニックは、令和3年6月30日付けで、原告から「大型雨とい高排水システム」が本件発明1を侵害する旨の通知(本件通知)を受け、それ以降、原告と交渉を継続していたこと、被告パナソニックと被告ケイミューは役員構成を一部共通にしており、「大型雨とい高排水システム」の構成部材は、被告ケイミューを通じて販売されていたこと、原告と被告らは「大型高排水システム」の市場をめぐって競合関係にあったこと、以上の事実が認められる。上記認定事実によれば、原告と被告パナソニックは、本件通知以降、「大型雨とい高排水システム」に関する交渉を継続していたのであるから、遅くとも本件特許2の登録日である令和5年3月6日には、本件発明2-7ないし2-9が特許発明であることを認識していたものと推認するのが相当であり、これを覆すに足りる証拠はない。そして、被告パナソニックと被告ケイミューとの上記認定に係る関係性に鑑みれば、被告ケイミューも、当時同様の認識を得ていたものと推認するのが相当である。
b その物がその発明の実施に用いられることを知りながら
特許法101条2号は、特許権の効力の実効性を確保する観点から、非侵害の用途に用いられる物の生産等であっても、直接侵害を誘発する蓋然性が極めて高い一定の行為に限り特許権の侵害とみなすものであり、特許権の効力の不当な拡張とならないように、当該発明という観点からみて重要な物の生産等に適用範囲を限定するものである。そうすると、同号に規定する「その物がその発明の実施に用いられることを知りながら」とは、直接侵害を誘発する蓋然性が極めて高い行為に限定した趣旨目的に鑑みると、例外的とはいえない範囲の者においてその物を当該発明の実施に用いる蓋然性が高いことを認識していることをいうものと解するのが相当である。これを被告製品1ないし3についてみると、証拠(甲6の2、甲13ないし15)及び弁論の全趣旨によれば、被告製品1-1、2-1及び3-1は、本件発明2-7ないし2-9の技術的範囲に属さない態様による用途もあるものの、被告らは、被告パナソニックのホームページや販促資料等において、「自在ドレンは専用部材をご使用ください」と記載した上、本件発明2-7ないし2-9の技術的範囲に属する施工例を紹介していることが認められる。そうすると、被告らは、被告製品1-1、2-1及び3-1を購入する者に対し、自ら、本件発明2-7ないし2-9の実施に用いるように広く推奨していたのであるから、被告製品1-1、2-1及び3-1を購入する者のうち例外的とはいえない範囲の者において当該製品を本件発明2の実施に用いる蓋然性が高いことを認識していたものと認めるのが相当である。
ウ 小括
したがって、被告製品1-1、2-1及び3-1の製造、販売等は、本件特許権2の間接侵害を構成するものといえる。

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