類否判断を考えてみましょうNO.10
下記の左の道路用ブロック(本件意匠)と、右の進入ブロック(引用意匠)は似ていると思いますか?答えは似ていない(非類似)と審決されました。概念図が示されている実用新案公開公報に基づいて無効を主張するハードルは高いことが分かります。
相違点
(ア)全体の長さの比率と斜面の傾斜角度
本願意匠は、正面視における縦・横・奥行きの長さの比率を約1:7:1.6、斜面と垂直面の高さの比率を約2:1、平面視における斜面と水平面の奥行きの比率を約3.5:1、斜面の傾斜角を約25度とするものであるのに対し、引用意匠は、正面視における縦・横・奥行きの長さの比率を約1:5:1.5、斜面と垂直面の高さの比率を約4.4:1、平面視における斜面と水平面の奥行きの比率を約7:1、斜面の傾斜角を約30度とするものである点において、両意匠は相違する。
(イ)滑り止めの態様
a 本願意匠は、凸部を7行、両端を揃えて配列しているのに対し、引用意匠は、凸部を6行配列し、そのうち奇数行は右側に、偶数行は左側にそれぞれ余地を設けている点、
b 本願意匠は、奇数行は長い凸部を6個配置し、偶数行は内寄りに長い凸部を奇数行の凸部から半分ずらして5個配置し、両端に短い凸部を1つずつ配置しているのに対し、引用意匠は、各行に長い凸部を4個配置した点において、両意匠は相違する。
相違点の評価
相違点(ア)について、正面視におけるブロック体の横の長さは、本願意匠は引用意匠の約1.4倍であり、その差がやや大きいことから、その他各部の比率の相違も含めると、相違点(ア)は需要者に異なる美感を起こさせるものといわざるを得ない。したがって、相違点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(イ)a及びbについて、滑り止めの態様は、この種物品における意匠の要部であるところ、本願意匠は斜面全体に凸部が満遍なく配置・配列され、密で整然とした印象を受けるものであるのに対し、引用意匠は、斜面のやや内寄りに奇数行と偶数行が左右交互に配置・配列され、やや祖な印象を受けるものであり、両意匠の凸部の数、形状及び配置・配列は大きく異なるものであるから、当該斜面が比較的目に付きやすい部位であることをあわせて考慮すると、相違点(イ)a及びbは需要者に異なる美感を起こさせるものといわざるを得ない。したがって、相違点(イ)a及びbが両意匠の類否判断に与える影響は大きい。