(氏+業種名)商標
例えば「中村建設」のように、ありふれた氏と業種名は、「全体としてありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」として、商標法第3条第1項第4号で拒絶されます。今回は、業種名がありふれていないとして、商標登録された事例「坂口電熱」を紹介します。
(要旨)本願商標は、「坂口電熱」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中の「坂口」の文字は、「姓氏の一つ。」(「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)であり、その全国順位は233位で、全国人数はおよそ91,600人であることからすると(「名字由来net」https://myoji-yurai.net/searchResult.htm?myojiKanji=坂口)、姓氏としてありふれたものであると認められる。一方、本願商標構成中の「電熱」の文字は、「電気エネルギーによって得る熱。ふつう電気抵抗のあるところを電流が流れる際に発生する熱。ジュール熱。」(「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)を意味する語であるものの、当該文字は、業種名を表す文字として一般に使用されている文字であるとまでは認められない。そうすると、本願商標は、その構成中の「坂口」の文字が、たとえ、ありふれた氏であると認められるとしても、ありふれた氏と業種名を表す文字とを結合させることで、ありふれた名称を表示するものとはいえない。