UNITED GOLD
「UNITED GOLD」を標準文字とした登録商標が、無効審判請求で有効と審決され、更に審決取消訴訟でも有効と判決された事例を紹介します(令和 6年 (行ケ) 10066号 審決取消請求事件)。いずれか一方の用語(今回は、UNITED)が、指定商品等の業界において結合商標として良く使用されていれば、結合商標と判断された事例です。
指定商品及び指定役務は、第25類「スーツ、ネクタイ、履物、被服」及び第35類「時計及び眼 鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」です。
(要旨)
本件商標は、「UNITED GOLD」の欧文字を同書体、同大で、「UNITED」と「GOLD」との間に一文字分の空白を空けるほかは等間隔で横書きにしてなるものであり、特段「UNITED」の部分が強調されているものでもない。本件商標を構成する「UNITED」と「GOLD」は、前者はアルファベット6文字、後者はアルファベット4文字にとどまるから、本件商標は全体として冗長なものとはいえず、それらの間に一文字分の空白があるとしても、両者が別個独立の構成であるとの印象を受けるものではなく、前記のとおり、「UNITED」は「結ばれた」などの意味を有する形容詞であるから、通常は他の語と一体となってその語を修飾するために用いられるもので、単独では意味を取りにくい語である。そうすると、本件商標である「UNITED GOLD」の構成のうちの「UNITED」の部分のみが強く支配的な印象を与えるものではない。
「GOLD」は、英語で、「(鉱物)金、黄金」などの意味を持つ名詞であり、我が国においても、それぞれの意味を有する英語の単語として、一般に知られているところではあるが、「結ばれた、団結した、連合した」などの意味を持つ形容詞と、(鉱「物)金、黄金」などの意味を持つ名詞を組み合わせても、それが一つの言葉として何らかの一定の意味を有するとは認められないから、「UNITED」と「GOLD」から成る「UNITED GOLD」から特定の観念を生ずることはなく、本件商標からは、特定の観念が生じるものとは認められない。
本件商標と各引用商標の外観、称呼及び観念の要素を総合勘案することとなる。本件商標と各引用商標は、外観、称呼においていずれも異なる上に、観念においても比較できないから、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と各引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であるとは認められない。