制御モジュール
特許請求の範囲「制御モジュール」について感応信号に従うとすることと時間間隔を調整可能に開閉するなどの「制御」は、何をどのように調整し制御することを意味するのかなどについて、特許請求の範囲の記載からは必ずしも明らかではない。として、明細書の記載が参酌された結果、非侵害と判断された事件を紹介します(令和7年(ネ)第10004号 特許権侵害損害賠償請求控訴事件)。
このように、裁判では相違点に関する部分についての技術的意義が詳細に検討されます。出願当初にあらゆる侵害態様を予測して実施形態に組み込むことは難しいですが、特許請求の範囲の用語の解釈について不要な限定とならないような実施形態の記載が重要となります。
(要旨)構成要件Fの「前記感応信号に従って前記バックライトモジュールをそのオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」は、感応信号に従ってバックライトモジュールをオンとオフの状態にすることができるとともに、感応信号に従ってオン状態にした後、再度の感応信号がなくても一定時間後にオフ状態にするまでの間隔、すなわち発光持続時間、を可変とすることができる制御モジュールを意味するものと解される。被控訴人各製品が、開閉に係る磁気を感知するタイミングとは関係なく、発光持続時間を可変に調整し制御する制御モジュールを備えるものとは認められない。そうすると、被控訴人各製品は、本件発明の構成要件Fにおける「前記バックライトモジュールをオンとオフ状態の時間間隔を調整可能に開閉する制御モジュール」に該当するものを備えないから、本件発明の構成要件Fを充足しないものと認められる。