識別力が肯定された事例NO3
識別力がないとして拒絶査定されて審決で維持される事例が相次いでいますが、拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力があるとして拒絶査定が覆された審決事例を紹介します。識別力がないという審決が多い中、漠然とした意味合いを想起させるにとどまるとして識別力を認められた点が参考になります。
・「茶醸酒」の文字を標準文字として、第33類「清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,蒸留酒,醸造酒(ビールを除く。)」を指定商品とした事例
本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の原材料を表示する文字と「醸酒」の文字とを結合させた表示が、商品の品質等を表すものとして一般に使用されている事実は発見できず、また、請求人提示の情報にあるように、本願の指定商品を含む、酒類を取り扱う分野においては、漢字1字と「醸酒」の文字とを結合させた漢字3文字からなる表示が、一連一体の語として採択、使用等されている実情が認められることからすれば、本願商標も一連一体の語として理解、認識されるというのが相当である。
また、「茶醸酒」の語は、辞書等に掲載されている成語ではない上、本願商標の構成中、「茶」の文字が「ツバキ科の常緑低木」の「若葉を採取して製した飲料」などを、「醸酒」の文字が「酒をかもすこと。また、かもした酒」などを、それぞれ意味する語であることから(出典:「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店)、それらを結合させた本願商標全体より、原審説示のごとき「お茶で醸した酒」ほどの意味合いを暗示させる場合があるとしても、それは漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものであって、それが直ちに商品の具体的な品質を理解、認識させるともいい難いものである。