不使用取消審判
登録商標について、指定商品や指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者や専用実施権者又は通常実施権者のいずれも使用した事実が存在しない場合、商標法第50条第1項の規定により取り消されます。日本語表記や英語表記を使用する予定がある場合、両者を2段書きにして商標登録することが良くあります。
今回は、「BELINE」の欧文字と「ビーライン」の片仮名を2段に表した登録商標を、「ビーライン FE」等で使用しているとして取り消されなかった事例を紹介します。2段書き商標は、できればそのままの態様で使用している実態を作ることが望ましいですが、日本語表記と英語表記とが同じ称呼で異なる観念でなければ、独立した使用でも問題ないことが分かります。
(要旨)本件商標における下段の「ビーライン」の片仮名は、上段の「BELINE」の欧文字の読み(称呼)を表したものと理解される。また、「ビーライン」及び「BELINE」のそれぞれからは、特定の観念が生じるものではなく、各文字の観念が異なるということはできない。さらに、使用商標において、「ビーライン」の文字は、「JFE」と文字種が異なることに加え、上記2(2)イのとおり、使用商品のベッドとは別の商標権者のベッドである「ビーライン FE」が存在することに鑑みると、「JFE」の文字部分は同じ「ビーライン」なる名称の商品の型番、品番を表す記号といえるから、使用商標中の「ビーライン」の文字は、独立した自他商品の識別標識としての機能を有する部分として認識し得るものである。
そうすると、使用商標は、本件商標を構成する「ビーライン」の文字と同一の文字を使用したものであって、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。