サーバが海外にあっても特許侵害
株式会社ドワンゴと米国法人FC2, Inc.および株式会社ホームページシステムとの間で争われた特許侵害訴訟は、動画上にコメントを表示するシステムに関するものでした。ドワンゴは、自社の「コメント配信システム」に関する特許(特許第6526304号)が、FC2の「FC2動画」「FC2ひまわり動画」「FC2 SayMove!」といったコメント機能付き動画配信サービスによって侵害されていると主張し、訴訟を提起しました。
本件の主な争点は、サーバが国外(米国)に存在し、ユーザ端末が日本国内にある場合、日本の特許権が適用されるかどうか、すなわち特許権の属地主義の解釈に関するものでした。一審の東京地方裁判所では、サーバが国外にあることを理由に特許権侵害を否定しました。しかし、二審の知的財産高等裁判所(知財高裁)では、サーバが国外に存在していても、国内のユーザ端末がシステムの主要な機能を果たし、特許発明の効果が国内で発現している場合、日本の特許権が適用されると判断し、特許権侵害を認めました。
この知財高裁の判決は、ネットワーク型システムの発明における特許権の適用範囲を拡大し、サーバが国外にあっても国内のユーザ端末との組み合わせで特許権侵害が成立し得ることを示した画期的なものとされています。この判決は、IT関連発明のクレームドラフティングや特許戦略に大きな影響を与えると考えられています。また、最高裁判所は令和7年3月3日、上告を棄却する判決を下しました(令和5年(受)第14号及び同第15号)。
特許第6526304号【請求項1】
サーバと、これとネットワークを介して接続された複数の端末装置と、を備えるコメント配信システムであって、
前記サーバは、
前記サーバから送信された動画を視聴中のユーザから付与された前記動画に対する第1コメント及び第2コメントを受信し、
前記端末装置に、前記動画と、コメント情報とを送信し、
前記コメント情報は、
前記第1コメント及び前記第2コメントと、
前記第1コメント及び前記第2コメントのそれぞれが付与された時点に対応する、前記動画の最初を基準とした動画の経過時間を表す動画再生時間であるコメント付与時間と、を含み、
前記動画及び前記コメント情報に基づいて、前記動画と、前記コメント付与時間に対応する動画再生時間において、前記動画の少なくとも一部と重なって、水平方向に移動する前記第1コメント及び前記第2コメントと、を前記端末装置の表示装置に表示させる手段と、
前記第2コメントを前記1の動画上に表示させる際の表示位置が、前記第1コメントの表示位置と重なるか否かを判定する判定部と、
重なると判定された場合に、前記第1コメントと前記第2コメントとが重ならない位置に表示されるよう調整する表示位置制御部と、を備えるコメント配信システムにおいて、
前記サーバが、前記動画と、前記コメント情報とを前記端末装置に送信することにより、前記端末装置の表示装置には、前記動画と、前記コメント付与時間に対応する動画再生時間において、前記動画の少なくとも一部と重なって、水平方向に移動する前記第1コメント及び前記第2コメントと、が前記第1コメントと前記第2コメントとが重ならないように表示される、コメント配信システム。