識別力が肯定された事例NO6

今回も、拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力があるとして拒絶査定が覆された貴重な審決事例を紹介します。識別力がないという審決が多い中、指定商品との関係で取引上一般的に使用されている用語ではないとして識別力を認められた点が参考になります。

・「Auto-Pilot Printing」の文字を標準文字として、第7類「印刷用又は製本用の機械器具,印刷機,印刷機並びにその部品及び付属品,印刷機用制御装置」を指定商品とした事例

本願商標は、「Auto-Pilot Printing」の文字を標準文字で表してなるものである。そして、たとえ、その構成中の「Auto-Pilot」の文字や、これに通ずる「autopilot」や「オートパイロット」の文字が、自動車や飛行機等の乗り物の分野において「自動運転」の意味を表す文字(語)として使用されており、また、本願の指定商品を取り扱う分野において「自動運転の機能を有する商品」が取引されている実情があるとしても、当審において職権をもって調査するも、本願の指定商品を取り扱う分野において、「自動運転」を表す文字(語)として「Auto-Pilot」やそれに通ずる文字(語)が、取引上一般に使用されているという事実は発見できない
さらに、本願の指定商品の取引者、需要者が、「Auto-Pilot Printing」の文字(語)を、当該商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も見いだせない。そうすると、「Auto-Pilot Printing」の文字からなる本願商標は、たとえ、原審説示の意味合いを暗示させる場合があるとしても、その指定商品との関係において、商品の品質等を間接的に表示するにすぎないものというべきである。してみると、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質を表示するものということはできず、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。

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