切込みの意義

特許発明の技術的範囲は、願書に添付された特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならず(特許法70条1項)、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとされています(同条2項)。「切込み」の意義について明細書等の記載も参酌して解釈された結果、非侵害となった判決を紹介します(令和 6年 (ネ) 10074号 損害賠償請求控訴事件)。

(要旨)各種辞書の記載から、「切込み」とは、刃物を用いて人為的・能動的に「切り目」ないし「切れ目」が形成された構造ないし状態を意味するとした原判決の説示は、相当なものである。控訴人は、本件明細書に記載されたカッター刃、カミソリの刃、ロータリーカッター等は例示にとどまる旨主張する。しかし、前記2の「切込み」の辞書 的意義と、本件明細書において刃物以外による「切込み」の形成手段について記載も示唆もないことに鑑みれば、当業者は、「切込み」が前記2のような意味を有すると理解すると解されるから、控訴人の主張は採用できない。被告製品において、たばこスティック(ロッド)の長手方向に沿ってたばこ基体の表面に略平行に3本形成された筋状部分は、捲縮加工工程における捲縮条件を制御することにより形成されたものであり、刃物によって形成されたものではないから、被告製品は構成要件Bを充足しない。

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