商標法上の周知性

商標法において、周知性が要件として規定された条文は下記のとおりです。特に、商標法3条2項の「周知」性については、不競法2条1項1号や商標法4条1項10号の場合とは異なり、当該表示が出所表示として全国的に認識されていることが必要と解されています。パテント 2019 Vol. 72 No. 4(別冊 No.21)に投稿された記事が参考になりますのでご確認ください。

出願人等の商標が「周知」であることが商標登録等の要件となる場合
・3条2項(3条1項3号から5号に該当する場合の登録要件(使用による識別力))
・7条の2第1項(地域団体商標に係る登録要件(使用による識別力))
・4条1項3号イ(国際機関の標章と同一・類似の商標について商標登録が許容される場合)
・64条(防護標章登録の要件)
他人の商標が「周知」であることが拒絶理由・無効理由に係る要件・考慮要素となる場合
・4条1項10号(他人の「周知」商標との抵触)
・4条1項19号(他人の「周知」商標と同一・類似商標の不正目的出願)
 また4条1項15号はその文言上「周知」に言及するものではないが,引用商標の周知性は出所の混同のおそれの判断の重要な考慮要素となっている。
自己の商標が「周知」であることが商標権侵害に係る抗弁・考慮要素となる場合
・32条(先使用権)・33条(中用権)・60条(再審により回復した商標権に係る使用権)
・無効の抗弁(商標法39条による特許法104条の3の準用),(4条1項10号や19号等に関して。この場合,自己の商標のみならず,他人の商標が「周知」であったことも問題となりうる)
・権利濫用の抗弁(従来型の総合考慮による権利濫用の抗弁と,4条1項10号の「周知」表示主体への権利行使に係るエマックス抗弁)

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