商標類否判断事例NO.13
ロゴ商標で、第3類「Non-medicated skin serums等」を指定商品とした本願商標が、オ拒絶査定を受けて不服審判で非類似と審決された事例を紹介します。図形部分と文字部分を分離して観察し、文字部分が2段書きされた下段部分を分離して観察する事情がないとして非類似であると判断されました。
(要旨)本願商標は、別掲1のとおり、交差する8本の円弧を内包する円の図形(以下「図形部分」という。)を上段に配し、中段に「IREN」の文字を大きく横書きし、下段に「SHIZEN」の文字を小さく横書きしてなる(以下「文字部分」という。)ところ、図形部分と文字部分とは、上下に離れて配置され、大きさも態様も異なるため、これらは、視覚上分離して看取されるものである。
そして、文字部分についてみると、中段の「IREN」の文字は、太字で一際大きく表されているのに対し、下段の「SHIZEN」の文字は、中段の「IREN」の文字に比べ、極めて小さく表されていることからすれば、視覚上、「IREN」の文字部分が、特に看者の注意をひく部分であるといえる。また、中段の「IREN」の文字が、辞書等に載録のない一種の造語として認識されるものであるのに対し、下段の「SHIZEN」の文字は「自然」に通じる語であり、本願の指定商品との関係においては、自他商品の識別標識としての機能が弱いといえるものである。そうすると、本願商標の文字部分においては、「IREN」の文字が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと判断するのが相当であり、本願商標の文字部分から「IREN」の文字を捨象し、「SHIZEN」の文字のみをもって自他商品の識別標識として取引に資されるものとはいい難い。他に、本願商標に接する取引者、需要者が殊更「SHIZEN」の文字部分に着目するというべき特段の事情も見いだせない。
してみると、本願の指定商品が引用商標の指定商品及び指定役務と類似の商品を含むものであるとしても、本願商標の構成中、「SHIZEN」の文字部分を分離抽出し、これを前提に、本願商標と引用商標とが類似するとした原査定の判断は、妥当なものとはいえない。

