著作物性
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義されています(著作権法2条1項1号)。この著作物性が争われた事件を紹介します(令和 6年 (ネ) 10079号 損害賠償請求控訴事件)。
ハンマーなどの小道具であっても、製作者の個性が表れていたら、著作物性が認められます。特に、「創作的に表現」とは、特に高度な創作性を要求するという意味ではなく、何らかの個性が発揮されていればよいという程度で理解されています。
(要旨)既存のイラストを参照したりして制作されたものであったとしても、デッ ドコピーではない以上、現実に三次元の物体として具体的に表現するに当たっては、形状、色彩等につき様々な選択肢がある。そして、選択された表現には制作者の個性が反映されており、視覚を通じて一定の美観を起こさせる一方、工業上利用することができる意匠として利用されることは予定されていないから、本件各小道具について美術の著作物性を否定することはできないというべきである。この点は、本件各小道具のうち、商品パッケージのイラストの一部を再現したもの(本件小道具11)、著名なキャラクターの形状を模したもの (本件小道具17)、実在の菓子や商品の形状を再現したもの(本件小道具37、67、88、98)、文字を模したり、再現したりしたもの(本 件小道具73、82)、ゲームセンターに設置されるゲームのハンマーを模したもの(本件小道具74、75)、電車の車両を模したもの(本件小 道具77、78)等についても同様である。