識別力が否定された事例NO.16
拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力がないとして無効絶審決が出された審決取消請求事件を紹介します(令和6年(行ケ)第10110号 審決取消請求事件)。指定商品について使用された場合、その取引者又は需要者において、当該指定商品の出所表示というよりも、その商品の品質、用途、形状を表示したものと一般的に認識されるものとして、識別力が否定されました。
・「スカイランタン」の文字を標準文字で表してなる商標について、第11類「電球類及び照明用器具,LED照明用器具,クリスマスツリー用電気式ランプ,ろうそく式ランタン,電気式ランタン,LED式ランタン,祭りの飾り用飾りランプ,祭りの飾り用ひも状のライト,あんどん,ちょうちん」に属する指定商品
(要旨)本件商標の指定商品のうち、「電球類及び照明用器具、LED照明用器具、ろうそく式ランタン、電気式ランタン、LED式ランタン、あんどん、ちょうちん」については、主として照明を目的とした商品と認められ、それ自体が本件商品等であるとはいえないが、本件商品等のように、照明の効果を利用した飾り等としても用いることが可能なものである。他方、「スカイランタン」を一般名称とする本件商品等は、その形状から「一種のちょうちん」(乙597の1)、「灯籠」(乙17、103)、「行灯(あんどん)」(乙111)、ランタン(中国風ちょうちん)(乙229)と説明されることもあり、実際にそのような商品の性質も有している。そうすると、本件商標が前記指定商品について使用された場合、その取引者又は需要者において、当該指定商品の出所表示というよりも、その商品の品質、用途、形状を表示したものと一般的に認識されるものと認められる。
また、本件商標の指定商品のうち、前記アを除く「クリスマスツリー用電気式ランプ、祭りの飾り用飾りランプ、祭りの飾り用ひも状のライト」についても、それ自体が本件商品等であるとはいえないが、照明の効果を利用した飾りとして用いることを目的とした商品である点では共通する性質がある。そして、本件商品等は、前記のとおり夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむことを用途とする商品であるが、固定するなどして飾りとして用いる照明等としても利用されることがある。例えば、本件商品等をひもを付けて浮かばせ、「スカイランタン」「スカイランタンイベント」
「スカイランタンナイト」等と表示している例も多くあるほか(乙230、244、245、269等)、大仏殿内でひも付きのLEDスカイランタンを多数浮かばせた催し(乙268)、ひものようなもので欄干に結び付け、1~4メートルの高さに設置して飾りとして用いた例(乙465)、暗い室内の天井に多数つるした光景を楽しむ室内イベント
(乙570)、「空飛ぶクリスマスツリー」とのイベント名で、数千個の本件商品等を宙に浮かせ、夜空に大きなクリスマスツリーを創り出す例(乙580)もある。これらの点を踏まえると、本件商標が前記指定商品について使用され
た場合、その取引者又は需要者において、当該指定商品の出所表示というよりも、その商品の品質、用途、形状を表示したものと一般的に認識されるものと認められる。