コモンロー商標

米国では、商取引における実際の使用に基づいて権利が発生する商標(コモンロー商標)というものがあり、これは、登録を必要とせずに保護されることが特徴です。今回は、商標取消審判で非類似と判断された引用商標とは異なるコモンロー商標に基づいて審決取消請求をした事件を紹介します(令和7年(行ケ)第10016号 審決取消請求事件)。この事件では、原告の商標がコモンロー商標とは認められず、被告の登録商標が維持されました。

(要旨)原告は、本件商標の出願日以前から、布製タイヤチェーンに使用商標「Classic」を誠実に悪意なく、採択・使用しているのであり、これは、商標としての機能を発揮する態様での使用であるから、米国においてコモン・ロー上の商標権が発生している旨主張する…布製タイヤチェーンとの関係で出所識別標識として機能している標章は、原告のハウスマークである「 」又は原告の略称である「ISSE」であって、「Classic」の文字は、原告が販売する布製タイヤチェーンが有しているグレードや性能、装着しようとしているタイヤへの適合を判断するための用途や品質を表示する文字として機能しているものであって、出所を識別するものとして機能しているものとはいえず、商標としての機能を発揮する態様で使用しているとは認められないから、米国のコモン・ロー上の商標権が発生していると認めることはできない。そうすると、原告が主張する使用商標は法53条の2に規定する「商標に関する権利」に該当せず、原告は、同条の「商標に関する権利を有する者」に該当しないから、取消事由1に関する原告の主張は理由がない。

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