競業禁止

会社法第21条には、「事業を譲渡した会社」に競業禁止の規定が設けられており、同一の事業を行わない旨の特約をした事業譲渡は、30年間効力を有します。今回は、この競業禁止規定に違反するとして、精肉及び惣菜の販売を目的とする事業を営むことが差止められた事件を紹介します(令和3年(ワ)第11323号 競争行為差止請求事件)。

(要旨)被告は、焼肉店が営む工場直売所であること、販売方法についても顧客層についても、顧客の注文に応じた一対一の対面販売をするという、いわゆる「町の肉屋営業」と全く異なるものであること、被告が販売する和牛の肉は、特殊冷凍加工したものであって生肉ではないことなどを指摘して、被告の行う事業は本件事業と同一の事業に当たらないと主張する。しかし、被告のいう「町の肉屋営業」を行う店舗(前記(1)イ(ア)①の方法を採用していることが多いと考えられる。)とスーパーマーケット等の店舗(同②の方法を採用していることが多いと考えられる。)とが、市場において競合し、顧客を取り合う関係となる可能性があることは、顕著な事実である。そして、本件において、被告が(省略)を焼肉店が営む工場直売所として運営したり、特殊冷凍加工した肉をパック詰めして販売したりしているとし
ても、専ら近隣に住む一般消費者を主たる顧客としてスライスないしカットした加熱前の調理用の肉を販売しているという点において、本件事業に係る市場や顧客と競合していることは否定できない。

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