商標類判断事例NO.23

「Cosmetic Museum」を標準文字として第3類 「口臭用消臭剤、動物用防臭剤、せっけん類、歯磨き、入浴剤(医療用のものを除く。)、化粧品、香料、薫料、つけづめ、つけまつ毛」を指定商品とした本件商標は、引用商標と非類似であるとして有効審決され、審決取消訴訟では類似と判断された事例を紹介します(令和6年(行ケ)第10104号 審決取消請求事件)。外観、称呼が異なるものの、観念が同一であり、観念の同一性が外観、称呼の相違を上回るため類似である判断されました。

(要旨) ⑴ 外観の比較
引用商標は標準文字であり、本件商標は標準文字ではないが、本件商標は文字に特段の装飾が施されているものではなく、特異な字体によるものでもないから、字体の相違は大きいものではない。本件商標は、「COSME」及び「MUSEUM」をいずれも大文字で、その間におよそ半文字分の空白を空けて記載したものであるのに対し、引用商標は、「Cosmetic」(Cは大文字でその余は小文字)と「Museum」(Mは大文字でその余は小文字)を、それらの間に1文字分の空白を空けて横書きにしてなるものであり、外観には相違がある。しかし、本件商標の構成のうち初めの5文字「COSME」と、引用商標の初めの8文字「Cosmetic」のうちの最初の5文字は、「tic」の有無の点で異なるが、冒頭のCが大文字である点で共通するほか、それに続く4文字は、大文字であるか小文字であるかの違いはあるものの、同じ文字である。しかも、本件商標の「COSME」は「コスメ」と称呼され、「コスメチック」又は「コスメティック」の略として知られており(前記2⑶)、それに相当する「Cosmetic」という語もよく知られているから(前記5 3⑵)、本件商標のうちの「COSME」は、引用商標にある「Cosmetic」という語の略と一般に認識されるものと認められる。他方、このような一般的な認識の存在にもかかわらず、「COSME」と「Cosmetic」が、混同等を生ずることなく別個の出所を示す表示として使用されているという取引の実情があることを認めるに足りる証拠はない。また、本件商標のうち後半の6文字の「MUSEUM」と引用商標の後半の6文字の「Museum」は、二文字目以降が大文字であるか小文字であるかの違いはあるものの、同じ文字である。これらの点を考慮すると、本件商標の外観と引用商標の外観との相違はそれほど大きくないものと認められる。
⑵ 称呼の比較
本件商標全体から生じる称呼「コスメミュージアム」と、引用商標全体から生じる称呼「コスメチックミュージアム」又は「コスメティックミュージアム」とは、構成音及び構成音数が異なる。しかし、いずれの称呼にも、初めに「コスメ」が、後に「ミュージアム」が含まれており、異なる部分は、中間の「チック」又は「ティック」の有無であって、語感が大きく異なることはなく、構成音数の相違も大きなものではない。そうすると、本件商標の称呼と引用商標の称呼との相違はそれほど大きくないものと認められる。
⑶ 観念の比較
本件商標全体からも、引用商標全体からも、「化粧品の博物館」ほどの観念が生じるから、本件商標全体から生じる観念と、引用商標全体から生じる観念は同一である。そうすると、本件商標の称呼と引用商標の称呼との相違はそれほど大きくないものと認められる。

本件商標と引用商標は、各商標の全体から生じる外観及び称呼は、異なるものではあるが、いずれもその相違は大きいものではなく、観念は同一であって、外観及び称呼の相違は、観念の同一性を凌駕するものではない。そうすると、時と所を異にして離隔的に観察した場合、本件商標と引用商標とは互いに紛れるおそれのある類似の商標であると認められる。

引用商標

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