商標的使用

不使用取消審判における「使用」には商標的使用であることを要するとの解釈が一般的です。今回は、「ROG」を標準文字として、第25類 「子供服等」を指定商品とした登録商標の不使用が争われた審決取消訴訟事件を紹介します(令和7年(行ケ)第10045号 審決取消請求事件)。登録商標が目立つ位置に付すことにより、デザイン性の有無に関わらず、社会通念上同一の商標であるため、取り消されませんでした。

(要旨)本件使用商標4及び本件使用商標5は、それぞれ書体の若干の違いや文字色の違いはあっても、「ROG」の文字を表していることは明らかであり、その使用は、「ROG」(標準文字)からなる本件登録商標と社会通念上同
一の商標の使用に当たると認められる。なお、本件使用商標4及び本件使用商標5は、それぞれ「ROG」の文字部分を構成要素とする結合商標の一部とみることもできるが、そのようにみたとしても、いずれも、人目を惹く位置に最も大きな文字で表され、別紙使用商標目録記載5の商標については二重引用符で強調されている「ROG」の文字部分が、商品の出所識別標識として機能するものと認められる
から、本件登録商標と社会通念上同一の商標の使用に当たることに変わりはない。これに対し、原告は、これらの商標は単なるデザインとして認識され、商品の出所識別機能を果たすもの(商標的使用)ではない旨主張する。しかし、商標法50条1項、2項の「登録商標の使用」が「商標的使用」でなければならないと解したとしても、デザインとしての機能を有することは、商標としての自他商品識別機能と排他的、択一的関係にあるものではない。標準文字からなる「ROG」の標章は、通常、出所識別機能を有する標章であり、本件使用商標4及び本件使用商標5で用いられている「ROG」の文字の形状には一定のデザイン性が認められるものの、そのデザイン化の度合いは高いものではなく、通常の文字として認識可能であることが認められる以上、出所識別機能が失われるわけではない。本件において、本件Tシャツ2381303及び本件Tシャツ2181304に
おける「ROG」の文字が単なるデザインとしてのみ取引者や需要者に認識されるとみるべき特段の事情も認められないから、これらのTシャツに係る本件使用商標4及び本件使用商標5の使用は、商標的使用に該当すると認めるのが相当である。

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