DiDi事件

「DiDi」との名称のスマートフォン向けタクシー配車アプリが、特許第6546562号を侵害するとして争われた事件を紹介します(令和6年(ワ)第7055号 損害賠償請求事件)。「タクシー」は個々の車両の情報であって、タクシー会社とは異なるため、非侵害であると判断されました。クレーム用語はクレーム全体の内容から厳密に解釈されることから、クレーム作成には高度なテクニックが求められます。

(要旨)被告製品においては、前提事実記載のとおり、被告アプリの③A画面においてユーザ端末に示されるものは「タクシー会社を指定する」画面であって、個々の車両の情報が示されるものではないし、ユーザーが選択するのは特定の車両ではないから、「ユーザが希望するタクシーを指定した配車確認要求」も備えない(なお、構成要件Cのうち、配車確認要求を「前記タクシー移動端末…及び前記タクシー事業者端末に共有し得るように通知し」の構成を被告製品が備えていることについては、主張はそもそも欠落している。)。したがって、被告製品は、構成要件Cを充足しない。…原告らは、構成要件Cの「タクシー」を「タクシー会社」に置換した構成について均等侵害を主張する(争点3-2)。しかし、前記の本件発明の課題及びその解決手段からすると、配車管理装置が、ユーザーの希望する条件に適合する車両を提示し、最終的にユーザーが配車要求する車両を決定し、その決定に配車管理装置が関与せず、かつ当該決定に係る情報のやり取りをアプリ運営主体とタクシー事業者とで共有することにより、ユーザーとアプリ運営主体、アプリ運営主体とタクシー事業者間の公平性及び情報の透明性を確保することは、本件発明の本質的な特徴である。そうすると、ユーザーが具体的な配車候補車両ではなく、タクシー会社のみを定め、その後は配車管理装置において、配車する車両を決定するとのプロセスを経ることは、まさに前記の本質的な特徴にそぐわないこととなる。したがって、原告らの置換に係る主張は、本件発明の本質的部分に関するものというべきであって、均等の第1要件を満たさない。

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