組み合わせる動機付け

引用文献どうしを組み合わせる動機付けは、夫々の引用文献の課題や作用効果を考慮して判断されます。今回は、本願発明1と主引例とは課題が異なるため本願発明1の構成に変更できず、主引例と副引例とは作用効果が異なるため組み合わせる動機付けがないと判断された事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10056号 審決取消請求事件)。特許審査基準に則った妥当な判断です。

(要旨)甲1発明の、乳房支持フラップ13、14を乳房係合ポケット12にオーバーフィットする構成は、本件発明1の課題とは異なる甲1発明の課題を解決するためものであると認められ、本件発明1の出願当時、乳房支持フラップ13、14の締め付け位置をバスト下部にし、バスト下部を覆う構成に変更する動機付けがあったということはできない。のみならず、このような構成に変更した場合、乳房支持フラップ13、14
が乳房を締め付け、これに対して内向きの圧力を提供する範囲が減少し、運動に従事する女性の乳房の過度の動きを防止するという課題を解決することができなくなるのであるから、上記の変更には阻害要因があるといえる。

甲2記載事項の延長部18、19は、ブラジャーの位置を維持することを、甲3記載事項のタブ状部分13は、背面被覆部分11の一部として、ブラジャー背面のアイレット及びレーシングを見えないように背面被覆部分の背中部分12が覆いかぶさるようにするとともに、背面被覆部分をタブ状部分13の端部に接続されたテープ部材に結ぶことにより、着用者の背中を圧迫し、その部分の肉の膨らみを滑らかにすることを、それぞれ目的とするもので、甲1発明の乳房支持フラップ13、14とは作用、効果が異なるのであり、いずれも甲1発明の乳房支持フラップ13、14の締め付け位置をバスト下部に変更する動機付けを示唆するものではない。
さらに、甲4記載事項は、ブラジャー前部1及びその下方に連続する上腹密着部2と、背開き用係止布部3とが伸縮布地により一体に形成され、ブラジャー前部1及び上腹密着部2の左右脇部分に連接された、伸縮率の小さい伸縮布地を用いた補正用前布5の係止用他端部に設けたフック6aとアイ6bとを係止させることにより、ブラジャー前部1と上腹密着部2と、バスト及びアンダーバストから上腹部に連続する部分との密着度を調整し、体を無理なく締め付けて体形を補正する事項に関するもので、甲1発明の乳房支持フラップ13、14とは作用、効果が異なるのであり、甲4記載事項についても、甲1発明の乳房支持フラップ13、14の締め付け位置をバスト下部に変更する動機付けを示唆するものではない。

【請求項1】
少なくとも女性のバスト部を覆う女性用衣料において、前記少なくとも女性のバスト部を覆うカップ部材と、前記カップ部材と分離した状態で当該カップ部材の表面側に配置され、前記バスト部の左右の各脇部からバストの側部を覆った状態でバスト下部の中央部にかけて設けられる左右の前身頃部材と、前記左右の前身頃部材をバスト下部の中央部近傍で互いに連結するとともに、当該左右の前身頃部材の連結幅を調節可能に設けられた複数の連結部材とを備えたことを特徴とする女性用衣料。

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