追納期間経過後の正当な理由
令和5年4月1日付で、期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと」に緩和されました。今回は、旧法の正当な理由が争われた事例を紹介します(令和4年(行ウ)第5001号 行政処分取消等請求事件)。緩和されたとしても、回復手数料(例えば、特許212,100円)が必要となりますので、代理人は期限管理に相当の注意を払う必要があります。
(要旨)特許法112条の2第1項の「正当な理由」の解釈について特許法112条の2第1項においては、平成23年法律第63号の改正(以下「平成23年改正」という。)によって、追納期間経過後に特許料等
を追納することができる場合の要件が、特許権者の「責めに帰することができない理由により…納付することができなかつたとき」から、「納付することができなかつたことについて正当な理由があるとき」に変更されている。上記の改正は、国際的調和の観点から権利救済の要件を緩和しようとする一方で、第三者の監視負担等の反対利益を考慮して、PLT(特許法条約)において選択が認められている「Due Cure」の概念が採用され、条文の文言としては「正当な理由があるとき」と規定したものと解される。このような平成23年改正の経緯や趣旨等に鑑みると、同条項の「正当な理由があるとき」とは、原特許権者(代理人を含む。)として相当な注意を尽くしていたにもかかわらず、客観的にみて追納期間内に特許料等を納付することができなかったときをいうものと解するのが相当である。
上記のメールのやり取りが行われている間に、本件担当弁理士らが本件紙リストの内容を確認し、米国年金管理会社の担当者が本件担当弁理士らから送付された受領書等の内容と本件支払確認リストの内容の整合性を確認するなどの作業が行われていれば、本件期間徒過を認識できたものと考えられるが、実際には、令和元年5月25日に本件特許権の第7年分の特許料納付依頼書を送付するまでの間に、両者の間で上記の追加納付に係るやり取りが行われたことはうかがわれないから、本件では上記の確認作業も行われていなかったものと推認される。したがって、上記の時点においても、追納期間内に特許料等を納付するために相当な注意が尽くされていたと認めることはできない。

