限定提供データ

不正競争防止法第2条第7項には、営業秘密以外の限定提供データが定義されています。この限定提供データを不正に取得し、営業権を侵害した場合、不正競争防止法第2条第1項11号に規定される不正競争となります。今回は、限定提供データに該当するか否かについて判断された事例を紹介します(令和7年(ワ)第7894号 発信者情報開示命令の申立てについての決定に対する異議の訴え)。限定提供データは、2023年の法改正により追加されたものであり、限定提供データを判断した貴重な事件です。

不正競争防止法第2条第1項11号:窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為(以下「限定提供データ不正取得行為」という。)又は限定提供データ不正取得行為により取得した限定提供データを使用し、若しくは開示する行為

(要旨)(1) 不競法2条7項が定める限定提供データは、業として「特定の者」に提供される情報として電磁的方法により相当量蓄積され、かつ、「電磁的方法により管理されている」営業上の情報であることを要する。このうち、業務性、相当蓄積性及び営業上の情報該当性については、前記前提事実から明らかに認められるので、以下、限定提供性及び電磁的管理性について検討する。
(2) 前記前提事実(3)のとおり、原告が保有する台データを閲覧するためには、本件利用規約への同意とCTによる検証を通過する必要こそあるものの、ユーザー登録を求めるなどのデータにアクセスする者を特定、限定するための措置などが講じられているわけではなく、上記台データは、その提供相手を誰とするかについて、原告の選択や裁量が入る余地のないまま、インターネット上で上記同意等の手続に応じさえすれば、何人たりとも無償で提供を受けることのできる情報であるところ、そもそも、不特定の者に提供されている情報であって、「特定の者」に対して提供されている情報とはいえない。また、電磁的管理性の要件は、データ保有者がデータを提供する際に、特定の者に対して提供するものとして管理する意思が外部に対して明確化され、第三者が認識できるようにされている必要があると解されるところ、上記のとおり、本件の台データは、そもそも、「特定の者」に対して提供されている情報とはいえないから、そのような管理の意思が外部に対して明確化されているものではなく、電磁的管理性の前提を欠くものといえる。これに対し、前記前提事実のとおり、本件の台データについては、CTによる検証の仕組みがとられることで、botによるアクセスを制限しているし、そのような管理の意思が外部に対して示されているといえるものではある。し
かし、不競法上の限定提供データは、あくまで、特定の「者」に対して提供している情報につき、これを電磁的方法により管理していることを求めているのであるところ、botによるアクセスを制限していることをもって、データにアクセスする「者」を限定することができているわけではなく、限定提供データとしての要件が充足されるとは解し得ない。
(3) 以上のとおり、本件の台データが、限定提供データに該当するものとは認められない。

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