引用文献の設計変更
特許拒絶理由通知での進歩性判断には、主引例の構成を他の引例の構成に置き換える(設計変更する)ことができるか否かも検討されます。今回は、主引例の課題を解決するために必須の構成を設計変更することができないと判断された事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10027号 審決取消請求事件)。主引例の根幹部分を設計変更して、本願発明を容易に想到できたとする拒絶理由に対する反論の参考になります。
(要旨)甲3発明では、第一カム当接部42及び第二カム当接部43に当接する第一カム部22及び第二カム部23も、当然、受け部41の左右両側に設けられることとなるが、これは、回動軸に垂直な方向において小さいヒンジを提供するという当該課題解決のための構成として、第一カム部22及び第二カム部23に挟まれる位置に、受け部41が配置される構成を採用したものといえる。すなわち、第一カム部22及び第二カム部23に挟まれ10 る位置に受け部41が配置されるのは課題解決のための構成であり、この挟まれる位置に受け部41に代えて、アーム支持突起16・17を配置することは想定できない。また、スライダ40が収容されたケース10には、スライダ収容部11の左右端部から突出するアーム支持突起16・17が設けられ、第一カム部22及び第二カム部23の左右外側に位置するようにアーム支持突起16・17が配置されているが、第一カム部22及び第二カム部23の左右外側にアーム支持突起16・17を配置すると、ヒンジが回動軸の方向に大型化することになるが、回動軸に垂直な方向において大型化するものではないから、回動軸に垂直な方向において小さいヒンジを提供するという上記課題解決のための合理的な構成であるといえる。そうすると、甲3発明の構成、すなわち、第一カム部22及び第二カム部23の外側にアーム支持突起16・17が配置するという構成が、課題解決のための構成であることからすると、これを特段の理由もなく、例えば第一カム部22と第二カム部23との間にアーム支持突起16・17に挟むものに変更する等、本件発明1の第一ウイング部材の一対の支持部が第二ウイング部材から突出した突出部を間に挟んで支持するような構成に変更することは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。

