商標類否判断事例NO26

「Rapport」のロゴ商標として、第35類「インストラクターのあっせん」などを指定役務とした本件商標は、引用商標と類似であるとして拒絶審決され、審決取消訴訟でも類似と判断された事例を紹介します(令和5年(行ケ)第10035号 審決取消請求事件)。本願商標は、図形部分と文字部の間に空白があり、文字部分が視覚的に独立した印象があることから、引用商標「RAPPORT」と類似である判断されました。

(要旨)本願商標は前記第2の1⑴のとおりであり、本願商標の上部には、全体の半分を超える大きさで図形が表され(図形部分) その下に二段からなる、文字が表され、文字部分の上段には欧文字で大きく「Rapport」と表され(上段文字部分)、下段には欧文字で小さく「withYOGAonline」と表されている(下段文字部分)ものである。本願商標の全体を観察すると、図形部分と文字部分は形態が大きく異なるとともに、両部分の間には空白部分があり、図形部分と文字部分が視覚的に独立した印象を与える。図形部分は、数字の8をモチーフにした茶色の螺旋様の曲線を二つ組み合わせた図形と、当該図形の上方周辺に、赤色、オレンジ色、黄色、黄緑色、水色、青色、紫色に着色された七つの葉のような図形を放射状に均等に配してなるものである。このような構成の図形部分は、一見して何を表す図形であるかを認識することのできないものであるといえ、この部分か
ら特定の観念及び称呼が生じるとは認められない。文字部分はいずれも茶色で表されているが、上段文字部分の文字の大きさは下段文字部分の文字の大きさより明らかに大きくなっており、視覚的に独立した印象を与えるものといえる。
上段文字部分の「Rapport」の語は、フランス語の単語あるいはフランス語に由来する英単語であり、その意味は「関係」 「信頼関係」等、であるが(乙4、弁論の全趣旨)、日本国内において慣れ親しまれている単語であるとはいえず、その意味及び発音についても一般的に認識されているとは認められない。このことからすると、上段文字部分からは、「Rapport」のローマ字の読みから連想される「ラポート」の称呼を生じ、特定の観念は生じないと認められる。下段文字部分の「withYOGAonline」は、
「with」「YOGA」 「online」及び の三つの英単語からなるものであるところ、「with」は「・・とともに」等を、「YOGA」は「ヨガ」等を、「online」は「オンライン」 「オンライン状態にある」等を意味する英単語であり、これらの英単語は、日本国内において親しまれている単語であり、その意味が広く認識されているものであるといえる。そうすると、上段文字部分及び下段文字部分を併せた文字部分が、一体不可分の特定の意味を有すると認識されるとはいえず、本願商標の文字部分全体を一連一体のものと観察すべきものとする取引の実情その他の事情があるとも認められない。本願商標の構成中、上段文字部分 「Rapport」の部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されると解される。

まず、外観において、本願商標の構成要素の一つである上段文字部分の「Rapport」と、引用商標1の「RAPPORT」とを比較すると、いずれも欧文字であり、構成文字の全てのつづりが同じであることから、同一の単語であることを容易に認識することができ、ただ、「RAPPORT」が全て大文字であり、「Rapport」は頭文字のみが大文字であるという相違があるにすぎない。次に、称呼において、本願商標の上段部分の「Rapport」と引用商標1の「RAPPORT」を比較すると、いずれも「ラポート」であって、称呼が同一である。さらに、「Rapport」及び「RAPPORT」のいずれも特定の観 念を生じないから、観念を比較することはできない。そうすると、本願商標の構成要素である上段文字部分の「Rapport」と引用商標1は、称呼において同一であり、特定の観念を生じない点で共通している。そして、①本願商標の上段文字部分の「Rapport」と引用商標1の「RAPPORT」は、文字種が異なり、外観が相違するものの、同一の単語であることは容易に認識可能であり、外観の相違は強い印象を与えるものでないといえること、②本願商標の図形部分から特定の称呼及び観念が生じると認められないこと(前記⑵イ) ③本願商標の上段文字部分の、文字の大きさが下段文字部分の文字の大きさより明らかに大きいこと(前記⑵イ)も考慮すると、本願商標に図形部分及び下段文字部分があること並びに「Rapport」と「RAPPORT」の文字種が異なることの相違は、「Rapport」と「RAPPORT」の称呼が同一であることの共通性を凌駕するものではなく、本願商標と引用商標1は、その外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すると、類似するものと認められる。

本願商標

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