商標異議申し立て
商標法第43条の2には商標掲載公報の発行の日から2カ月以内に異議申し立てができます。「Reality Capture」からなる登録商標について、米国のEpic Games社が、その業務に係る商品「画像処理用コンピュータプログラム」等の名称として日本を含めた全世界で使用し、日本国内においても周知・著名であると主張して異議申し立てを行いました。Epic Games社は、オンライン対戦型ゲーム「フォートナイト」が有名です。
異議申し立て理由は、商標法第4条1項10号(他人の周知商標)4条1項15号(他人の業務と混同)4条1項19号(著名商標の不正利用)です。申立人の「RealityCapture」は、対象物を重複して撮影した複数の写真データから、カメラの位置(距離、角度)を推定して3Dモデルを生成するフォトグラメトリソフトウェアです。
この事件では、周知性が否定されて、維持決定がなされています。
その理由は、「本件使用商品は、2021年8月頃(外国ではそれ以前)から我が国の販売代理店を通じて販売開始し、その後、本件商標の登録出願時(2022年12月5日)まで継続した販売実績があり、利用者も一定数が存在するとしても、その販売期間は約1年半程度にすぎず、その販売規模や広告宣伝規模、市場占有率なども明らかではないから、引用商標の需要者の間における認知度の程度は明らかではない。そうすると、申立人の提出証拠によっては、本件使用商品の商品名である引用商標が、本件商標の登録出願時において、我が国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、広く認識されている商標とはいえない」としています。
異議申し立て期間が公報発行日から2カ月と短いことから、登録商標を発見して周知性の証拠を集める時間がほとんどなく、異議申し立てには周到な準備が必要であると感じました。