数値限定発明
数値限定発明は、特許請求の範囲に記載された特定の構成要件について、数値範囲を定めるものです。無効審判で有効とされた発明の審決取消訴訟事件で、無効判決が出た事件(令和 6年 (行ケ) 10002号 審決取消請求事件)を紹介します。
不織布の「着色繊維がカーボンブラック製の顔料を含んだ黒色系の色彩であり、着色繊維の混合量が重量比で10~90%の範囲である」という特許請求の範囲について、この数値範囲は技術的意義がないとして無効判決が出されました。本件発明の技術的意義は、「着色繊維の顔料に カーボンブラックを用いることで不織布の光の反射を抑えて施工性を改 善するとともに、耐候性及び耐摩耗性を高めることにある」とし、明細書の実施例では、黒色繊維を10%未満の割合で混合した比較例との対比は行われておらず、黒色繊維の混合比率を10ないし90%の範囲としたことに特段の技術的意義があるとは認められない。と認定され、進歩性が否定されました。
数値限定発明は、数値範囲の上限と下限で臨界的意義があること、できれば実験データを明細書に記載しておくことがベストです。