特許権侵害の当て嵌め
豚足脱毛機としての使用に限らず、豚足洗浄機としても兼用できる被告製品に対して、本件特許は豚足洗浄機としての使用を制限する記載がないため、侵害であると判断された事件を紹介します。少し難しいですが、興味があればご覧ください。
本件特許と被告製品とを当て嵌めるとき、特許請求の範囲の各構成要件ごとに対比が行われ、作用効果も考慮されます。そのとき、本件特許の原告が出願経過で述べた内容も考慮される禁反言の原則というものもあります。その禁反言の原則が良い方向に働いた事件でして、下記のような判断がなされています。
『原告の拒絶査定不服審判の請求書には、「内壁面が曲面ではなく、平面視で八角形や 六角形といった複数の角ができる形状であれば、この内壁の内角Rの働きによって、 豚足同士が互いに衝突し擦り合って畜毛が抜けるという曲面内壁では得難い効果が 発揮されます。」との記載がある。以上によれば、構成要件Cは、筒状容器の内壁につき、平面視で八角形や六角形といった複数の角ができる形状であれば、この内壁の内角Rの働きによって、豚足同士が互いに衝突し擦り合って畜毛が抜けるという曲面内壁では得難い効果が発揮されるものとして、「多角形状に形成される」と規定したものであり、かかる効果が発揮されるのであれば、「多角形」を凸多角形又は凹多角形の一方に限定するものではないと解される。 』