トイレットロール事件

原告日本製紙クレシア、被告大王製紙で争った、2プライに重ねられたトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールに関する特許紛争事件(令和4年(ワ)第22517号)と紹介します。結論は、報道でご存じの方も多いと思いますが、被告製品が非侵害であると判示されました。

原告の特許権3件に対して被告製品1~3の文言侵害、均等侵害について判断されました。要旨は下記の通りでして、侵害立証する側は被告製品の測定方法を明細書に記載した測定方法と同一にする必要があること、明細書は限定解釈されないようにできる限り変形例を記載しておくことの重要性を、改めて意識付けされました。

『本件特許1について、原告測定方法は、本件明細書1に記載されたエンボス深さの測定方法とはいえず、原告測定方法に基づいた甲10報告書によって、各被告製品が構成要件1B「前記エンボスのエンボス深さが0.05~0.40mm」を充足するとは認めることはできない。同様に、本件特許3について、構成要件3F「前記エンボスパターンの深さが、0.01mm以上0.40mm以下である」を充足するとはいえない。』と、被告製品の測定方法が異なると判断されています。

『本件特許2について、構成要件2E「前記把持部には、ほぼ中央に上向きに非切抜部を有するほぼ長円の一つのスリット状の指掛け穴、又は上向きに非切抜部を有して横方向に沿って並ぶ二個の指掛け穴が形成されており、」は、被告製品1及び被告製品3に形成されている「スリット状」の「指掛け穴」の下部輪郭が「非切抜部」であるともいえ、その非切抜部を固定端とする片部がスリットの切り抜きにより上方に折り返されるものではない』と限定解釈されています。

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