識別力が否定された事例NO5
拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力がないとして拒絶審決が出された事例3件を紹介します。(3)のように、商標法第3条第2項の周知性の判断が参考になります。
(1)「若見せファンデ」の文字を標準文字として第3類「化粧品」を指定商品とした事例
本願商標をその指定商品中、「ファンデーション」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「若く見えるようにするファンデーション」であることを認識するにとどまり、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。また、本願商標を「ファンデーション」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがあるものというべきである。したがって、本願商標は、これをその指定商品中の「ファンデーション」に使用するときは、商標法第3条第1項第3号に該当し、「ファンデーション」以外の商品に使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)「コンビニジム」の文字を標準文字として第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,インターネットを利用して行う映像の提供,インターネットを利用して行う音楽の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),運動施設の提供,娯楽施設の提供,運動用具の貸与」を指定役務とした事例
本願商標は、その指定役務が、「技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供,運動用具の貸与」など運動や運動施設に関する役務であることも相まって、その需要者及び取引者をして、構成文字全体として「コンビニエンスストアのように手軽に利用できるジム」や「コンビニエンスストアに行くような感覚で通えるジム」程度の意味合いを認識、理解させるというべきで、その指定役務中、例えば「技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供,運動用具の貸与」などに使用されるときは、単に役務の質(内容)又は提供の場所を表示するものと認識、理解されるにすぎず、また、それらと関連しない役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(3)「サバイバル」の文字を標準文字として第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,インターネット又は携帯電話による通信を用いて行う音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),アニメーション映像の提供,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」を指定役務とした事例
本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「困難な状況を越えて生き残るための方法や技術に関連した役務」と認識するにすぎず、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
上記の参考資料からは、「科学漫画サバイバル」シリーズ、「科学漫画サバイバル」、「○○のサバイバル」、「サバイバルシリーズ」等、「サバイバル」の語の前後に何らかの語句を伴った態様で使用されていることはうかがえるものの、本願商標「サバイバル」単独での使用は確認することができず、さらに、これらは本願の指定役務とは異なる商品「印刷物」についての使用が主であって、当該使用の状況からは、本願商標が、それのみで自他役務識別標識として機能しているものとは認めることができない。そうすると、本願商標について、具体的な使用事実に基づいて使用状況を把握し、その周知性の程度などを客観的に推し量ることができないから、本願商標がその指定役務との関係において、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているものと認めることもできない。