AIを発明者とした特許出願

「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」を発明者とした特許出願、特願2020-543051号の出願却下処分が取り消されなかった事件を紹介します(令和 6年 (行コ) 10006号 出願却下処分取消請求控訴事件)。また、上告できますが、日本の現行特許法において、自然人でないAIは発明者として認められないという結論です。

(要旨)

現行特許法は、自然人が発明者である発明について特許を受ける権利を認め、特許を付与するための手続を定めているにすぎないから、AI発明については、同法に基づき特許を付与することはできない。そうすると、AI発明が特許法上の「発明」の概念に含まれるか否かについて判断するまでもなく、特許法に基づきAI発明について特許付与が可能である旨の原告の主張は、理由がない。

原告は、AI発明の出願において発明者の氏名を必要的記載事項と解することは、欧州特許庁の判断と整合しないと主張する。しかし、原告指摘の説示(甲10・段落4.4.1)は、欧州特許出願に発明者を表示すべき旨定めた欧州特許条約81条第1文の解釈について、欧州特許庁が示した判断であって、かつ、結論として発明者適格を有するのは自然人のみであるとした判断の理由の一部であるにすぎず、我が国の特許法の解釈として、国内書面の「発明者の氏名」が必要的記載事項であることを否定する根拠とはならない。したがって、国際特許出願に係る国内手続において、国内書面の「発明者の氏名」は必要的記載事項である。