発明該当性

ビジネスモデル特許において、人為的取り決め等であるとして主に発明該当性が争われた事例を紹介します(令和 6年 (行ケ) 10050号 審決取消請求事件)。生成AIが急激に発展している現代において、ビジネスモデル特許出願が急増しています。ビジネスモデル特許のクレームは、コンピュータを用いた処理を、コンピュータ目線で記載することが重要です。

(要旨)本件特許発明は、投資家に対して、「投資対象が、運用利回り、需給バランス、及び取引相場の安定性に優れ、かつ、投資家の所望する損益を計上することができるファンドの商品」を提供するという課題を解決するためのものであり、そのために、ファンドマネージャによって操作されるツールとなる情報処理装置を提供しようとするものである。シミュレーションの目標が「前記投資家の所望する金額」(要件D)として設定され、この設定を行うのがファンドマネージャ(人)であるとしても、そのように「前記投資家の所望する金額」を設定するファンドマネージャによって操作されて、具体的に提供されるファンドの商品やそのような商品の候補に係る「最適化」された「ファンドの商品の内容」を決定するためのツールとなる情報処理装置であり、そのための具体的なソフトウェアによる情報処理として、要件A~要件Cの演算の処理やDの繰り返しによる「最適化」のための処理を行うものとして実現されているものであり、「ファンドの商品の内容」を決定するためのソフトウェアによる情報処理がCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて具体的に実現されている。本件特許発明は、上記の課題を解決するために、ファンドマネージャによって操作されるツールとなる情報処理装置を上記のとおり具体的に実現するものとなっており、このことから、その課題解決に当たって、専ら、人の精神活動、意思決定、抽象的な概念や人為的な取決めそれ自体に向けられたものでない。

【請求項1】

A 車種、経過年を含む履歴情報、価格を少なくともパラメータとして含む、t台(tは1以上の整数値)の車両の購入額、及び所定の期間経過後の販売 額を演算する購入販売額演算部と、
B 前記t台の車両の夫々を購入した者を貸主として、当該t台の車両の 夫々を、所定の借主に対して賃貸借契約で賃貸する場合の賃貸費を演算する賃貸費演算部と、
C 前記賃貸費と、前記購入額と、前記販売額とに基づいて、前記貸主の損益 額と、前記t台の車両の組合せからなるファンドの商品を購入する投資家の損益額と、の夫々を演算する損益演算部と、
D 前記パラメータ及び前記t台、前記購入額、前記販売額、前記賃貸費、前記貸主の損益、並びに前記投資家の損益の組合せを変化させて、前記購入販売額演算部、前記賃貸費演算部、及び前記損益演算部の各処理を繰り返し実行させ、その実行結果に基づいて、前記貸主の損益額が、前記投資家の 所望する金額となるように、前記ファンドの商品の内容を決定する商品最適化部と、
E を備える情報処理装置。

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