識別力が否定された事例NO8

拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力がないとして拒絶審決が出された事例3件を紹介します。不服審判請求をしても識別力が無いと判断されることが多いです。

(1)「換気ライト」の文字を標準文字として第11類「家庭用レンジフード等」を指定商品とした事例

本願商標「換気ライト」の文字は、当審補正商品との関係において、「空気を入れかえること。」を意味する「換気」という機能名と、「光。照明。」を意味する「ライト(照明)」(いずれも「広辞苑 第七版」発行者:株式会社岩波書店)という機能名を結合したにすぎず、構成全体として、「換気機能とライト(照明)機能」ほどの意味合いを認識させ、商品の有する機能を表したものであると理解させるにすぎないものである。よって、本願商標を当審補正商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、当該商品が、「換気機能とライト(照明)機能を有した商品」であることを理解するにとどまるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。

(2)「しゃべるスマートウォッチ」の文字を標準文字として第28類「おもちゃ等」を指定商品とした事例

本願商標は、構成全体として、「話す(音声を発する)機能を搭載した腕時計型携帯情報端末等の電子機器」ほどの意味合いを容易に理解させ、かつ、その構成に顕著な特徴がないものであるから、これを本願の指定商品中「おもちゃ」に含まれる「話す(音声を発する)機能を搭載した腕時計型携帯情報端末等の電子機器のおもちゃ」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、当該商品が話す(音声を発する)機能を搭載した腕時計型携帯情報端末等の電子機器おもちゃであること、すなわち、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと理解するにとどまるというのが相当であり、自他商品の識別標識とは認識し得ないというべきである。そして、本願商標「しゃべるスマートウォッチ」の文字は、おもちゃの品質を簡潔に表すために何人もその使用を欲するということができるから、このように指定商品との関係において、商品の品質を表示するために、取引に際し必要適切な標章として何人も使用を欲するものについて、特定人によるその独占使用を認めることは妥当ではない。

(3)「HHR」の文字を標準文字として第44類「ボディワックスによる脱毛,レーザー脱毛,電気分解による脱毛,永久脱毛,その他の脱毛,体の脱毛に関する助言,美容,理容」を指定役務とした事例

「SHR脱毛」と「IPL脱毛」と呼ばれる複数の脱毛のための方式を組み合わせたものを、「Hybrid Hair Removal」及びその頭文字からなる「HHR」と称することが、脱毛に関する多数のウェブサイトにおいて、紹介されていることが認められる。これらの事実からすると、「HHR」の語は、脱毛に関する分野においては、脱毛の方式又は種類を表す語として、当該分野の事業者に広く使用され、かつ、その需要者においても、脱毛の方式又は種類を表す語として認識されているとみるのが相当である。そうすると、本願商標を、その指定役務中「脱毛に関する役務」に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「複数の脱毛方式を組み合わせた方式を用いた脱毛に関する役務」であること、すなわち、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというのが相当である。

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