テレホンカード
最近目にすることがなくなったテレホンカードは、緑色の公衆電話機専用の磁気カードとして、硬貨の代わりに使用できるプリペイドカードです。今回はテレホンカードの実用新案権の有効性が争われた事例を紹介します(令和8年(ネ)第10049号 損害賠償請求控訴事件)。そもそも存続期間が満了している実用新案権に基づく分割出願は認められるべきではなく、未審査登録主義といえども方式審査で補正指令を出すべき事案だと思われます。
(要旨)控訴人は、本件出願は分割出願であり、分割出願の場合、新たな実用新案登録出願は、もとの実用新案登録出願の時にしたものとみなされるのであるから(実用新案法11条1項の準用する特許法44条2項)、本件実用新案権の設定の登録があった以上、その権利ないし効力は、原々出願時である昭和59年9月5日に遡及して発生し、平成5年法律第26号による改正前の実用新案法15条1項の規定により平成11年9月5日まで存続するのであって、原審の判断には、本件実用新案権の権利性について法令の解釈適用を誤った違法があり、事実誤認及び審理不尽の違法がある旨の主張をする。しかしながら、実用新案権は、設定の登録により発生するところ(実用新案法14条1項)、本件実用新案権の設定の登録があったのは平成22年4月2日であるから、本件実用新案権発生前の昭和59年9月5日から平成11年9月5日までの間における被告製品の販売を本件実用新案権の侵害といえないことは、原判決の説示のとおりである。控訴人は、実用新案法11条1項の準用する特許法44条2項の規定によれば、本件実用新案権の設定の登録があった以上、その権利ないし効力は原々出願時である昭和59年9月5日に遡及して発生する旨の主張をするが、上記は、出願時が遡及することを規定するもので、実用新案権が遡及して発生することを規定するものではない。控訴人は、本件実用新案権の設定の登録は存続期間満了を原因として抹消されたのであり、登録自体が当然に無効であったわけではなく、本件出願は、特許庁において、適法な分割出願として登録査定がされている、存続期間満了後に設定の登録がされた実用新案権について登録後の将来効しかないと解すると、本件実用新案権の設定の登録が無意味化する、実用新案権自体の将来行使の可否と損害賠償請求権の発生又は確定の有無は区別すべきであるなどとも主張するが、いずれも、独自の解釈に基づく主張であり、採用することはできない。

