組合せの動機付け
審査基準では複数の引例同士を組み合わせる動機付けに関して、「複数の引例同士の技術内容の関連性又は共通性を考慮すべき」であるとしています。今回は、組み合わせる動機付けが肯定された事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10114号 審決取消請求事件)。先端安全技術に関する文献に自動運転技術に関する周知技術を組み合わせる動機付けがあると認定されました。
(要旨)、原告は、引用発明が先進安全技術を体現した車に関するものであり、先進安全技術とは異なる目的から自動化を推し進める自動運転技術を単純に引用発明に取り入れる動機付けはないと主張する。しかし、先進安全技術も自動運転技術も、車両の運転に必要な外界認識、判断及び操作を、運転者とシステムが分担するという点において変わるところはないから、自動運転技術の分野における周知の技術的事項を、先進安全技術に係る引用発明に採用する動機付けは一般に肯定されるというべきである。また、原告は、引用発明が現実に販売された自動車の取扱説明書であって、その性質上、車の各種機能の技術的な最適化が極限まで施されているから、機能の一部を変更又は追加する動機付けはないと主張する。しかし、引用発明が製品として完成されているものであるからといって、一般に、当業者が当該引用発明の機能の一部を変更又は追加する動機付けがないということはできない。さらに、原告は、引用発明の自動車が前方の周囲情報のみを取得し、その範囲で運転支援を行うものであるから、引用発明に側方を認識するセンサーを設けることには阻害要因があり、側方を認識するセンサーがない車両に車線変更制御、右左折制御及び駐車制御といった各種制御を適用することは不可能であると主張する。しかし、引用発明に係る自動車が前方の周囲情報のみを取得していることは、これに加えて側方を認識するセンサーを設けることの阻害要因となるものではない。当業者は、引用発明に係る車両の走行に必要な複数種類の運転動作として、発進制御、車線変更制御、右左折制御又は駐車制御を含むものとするに際して、これを実現するため、周知技術に属する側方センサーを車両に設けることを適宜行うことができたというべきである。

