主引例の異なる実施形態

進歩性を否定する際に、主引例に記載された異なる実施形態を組み合わせることがしばしば見受けられます。今回は、主引例の実施形態をひとまとまりの構成として認められると判断された事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10088号 審決取消請求事件)。実施形態の各構成をひとまとまりとして結合するためには、明細書にある程度の示唆が記載されていればなりません。

(要旨)3 導管の形成態様の認定の誤りについて

原告は、本件審決が、図25の吸引システム2500には明示がないのに、吸引装置2100の導管構造を吸引装置2510に投影して認定したことが誤りであると主張する。しかし、引用文献1の【0306】には、吸引システム2500を構成する吸引装置2510は、吸引システム又は吸引装置100、300、1000、1200、1300、1900の一例であり、【0245】には、逆流防止弁を備えた吸引装置2100は、吸引システム又は吸引装置100、300、1200、1300、1900の一例であると記載されている。そうすると、吸引システム2500を構成する吸引装置2510に、少なくとも吸引システム又は吸引装置100、300、1200、1300、1900を用い、更にそれらの一例として逆流防止弁を備えた吸引装置2100を用いることができるのであるから、図25にその明示はなくとも、引用文献1全体から吸引システム2500において逆流防止弁を備えた吸引装置2100を用いるとした構成が抽出できる。したがって、本件審決が吸引システム2500において吸引装置2100に用いられる導管構造を構成要素とする引用発明を認定したことに誤りはない。

4 異なる実施形態のモザイク認定の誤りについて

原告は、本件審決が、吸引装置2100、逆流防止弁2200及び吸引システム2500を全て単一の構成に統合して認定したことが誤りであると主張する。しかし、吸引システム2500において、吸引装置2510として吸引装置2100を用いるという構成が抽出できることは上記3のとおりである。また、引用文献1の【0273】には、逆流防止弁2200は、逆流防止弁2116の一例であり、【0245】には、逆流防止弁2116は逆流防止弁を備えた吸引装置2100の一部であると記載されているから、吸引装置2100として逆流防止弁2200を用いた構成も引用文献1に記載されたものであると認められる。そうすると、引用文献1から、逆流防止弁2200を備えた吸引装置2100用いた吸引システム2500の構成を抽出できるというべきであって、これらをひとまとまりの構成の引用発明として認定したことに誤りはない。

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