ビットトレント

ビットトレント(BitTorrent)は、ファイル共有のためのプロトコルおよびソフトウェアの一種でして、ファイルを複数の小さな部分(ピース)に分け、これらを参加者同士で直接交換するものです。今回は、ビットトレント(BitTorrent)が著作権(公衆送信権)の侵害に該当するか争われた事例を紹介します(令和6年(ワ)第70523号 発信者情報開示命令の申立てについての決定に対する異議の訴え)。複数のピースに分割されて送信した場合であっても、完全なファイルに復元できることから、公衆送信権の侵害に該当するとされています。

(要旨)本件ファイルは、本件動画を複製し、又は翻案したものであると認められるところ、本件各通信によって、本件ファイルを分割したデータであるピースが送信されているということができる。そして、本件再生試験により、本件ファイルを複製し、そのバイナリデータを加工して、対象となるピース及び動画の再生に必要なデータ(ftyp、mооv)のみを残し、その余の情報を削除した上で、本件各通信によって送信されたピースを再生することができたと認められる。以上に加え、前記前提事実⑶のとおり、ビットレントにおいては、ピースをダウンロードした場合においても、クライアントソフトが、トレントファイルに記録されたデータに基づき、完全な状態のファイルに復元するものとされていることに照らせば、本件再生試験の結果により、ビットトレントのネットワークにおいて本件各通信によって送信されたピースから、本件動画の表現上の本質的な特徴を直接感得することができたものと認めることができる。そして、前記1⑴及び弁論の全趣旨によれば、本件各発信者は、ビットトレントのネットワークにおいて、本件ファイル又はそのピースを保有する他のピアのユーザと共同して、本件ファイル又はそのピースを、そのダウンロードを要求するピアのユーザという不特定の者によって直接受信されることを目的として、当該ユーザからの求めに応じ自動的に送信しており、現に、本件各通信によって、本件調査会社に本件ファイルのピースを送信したものと認められる。そうすると、本件各通信は、公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うものであり、かつ、これを公衆からの求めに応じ自動的に行ったものであるから、自動公衆送信に該当するということができる。以上によれば、本件各通信によって、被告の本件動画に係る著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかである(法5条1項1号)。

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