優先権主張
PCT出願をする際、国内の基礎出願に対して1年以内であれば優先権主張をすることができます。今回は、PCT出願時の優先権が認められるか否かが争われた事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10019号 審決取消請求事件)。優先権の承継に対して、発明者の扱いについての見解の相違は影響を及ぼすものではないと判断されました。
(要旨) 被告は、前記第3〔被告の主張〕1、2のとおり、出願時における優先権の欠缺は事後的に治癒されず、本件PCT出願の時点において、原告ブロー
ド研とロックフェラー大との間で発明者の特定について見解の相違が存し、これは2018年(平成30年)に至るまで解決しなかったから、第1及び第2基礎出願についての優先権主張は認められない旨を主張する。しかし、既に検討したとおり、本件PCT出願の時点において、ロックフェラー大は真核細胞に係るD博士の発明者としての扱いに不満を持ち、米国960出願に係る発明者の扱いに関しては原告ブロード研とロックフェラー大との間には見解の相違がありこれについての紛争に至ったことは認められるものの、それらが直ちに第1及び第2基礎出願の優先権の承継ないし本件譲渡の効力に影響を及ぼすものであったとは認められないというべきである。被告は、前記第3〔被告の主張〕3のとおり、本件における優先権の承継に関して重要なのは発明者についての適切な調査がなされたか否かではなく証拠上本件譲渡の事実が認められるか否かであり、本件に提出された証拠よれば、これは認められない旨を主張する。しかし、前記1で検討したとおり、本件譲渡に関して、譲渡人であるロックフェラー大と譲受人である原告ブロード研との認識は合致しており、本件譲渡の契約に係る要件の充足についても認められることから、本件譲渡の事実を証拠上認めることができる。

