顕著な効果

特許審査基準において、引用文献に本願発明の構成が開示されていたとしても、特定の構成を採用することにより顕著な効果があれば、進歩性が認められます。今回は、顕著な効果が採用されて拒絶審決が取り消された事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10043号 審決取消請求事件)。特に材料分野においては、実験データなどにより顕著な効果があることを明細書に記載すると良いです。

(要旨)本願の優先日当時、透明スクリーンに用いられる樹脂の選択肢として「熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は活性エネルギー線硬化性樹脂」が知られていたものの、引用発明及び周知技術によっては、このうち活性エネルギー線硬化性樹脂を採用する動機付けがあったとは認められないところ、本願発明が、このうちの活性エネルギー線硬化性樹脂(成分(A))を採用することにより、仮に、先行発明を記載した刊行物(引用文献1)に開示されていない顕著な効果、すなわち、先行発明によって奏される効果とは異質の効果、又は同質の効果であるが際立って優れた効果を奏する場合には先行発明とは独立した別個の発明として特許性が認められる余地があるものというべきである。…被告は、引用発明及び技術常識1、周知技術1に基づくと、相違点1に係る構成は当業者に自明の選択肢であってかかる選択は極めて容易であるから、効果の予測・発見困難性及び顕著性を評価するまでもなく本願発明は容易に想到し得たものと判断されるべきであることを主張する。しかし、引用文献1の記載を検討しても、希土類リン酸塩微粒子と活性エネルギー線硬化性樹脂とを組み合わせたものとすることについて、一般的にも具体的にも記載はない。引用文献1段落[0010]の、無色及び/又は透明といった特性を有していれば樹脂の種類に特に制限はない旨の記載は、無色及び/又は透明でない樹脂の採用は制限されることを示唆するにとどまり、特定の樹脂の種類を選択することを意味するものではない。一方、本件審決が挙げた技術常識1は、甲4、5及び乙20ないし22によっても、活性エネルギー線硬化性樹脂自体が、その用途や長所を含め、一般的に知られた樹脂のひとつであることを示すにとどまり、本件審決が挙げた周知技術1は、甲2、3及び乙12、15ないし22によれば、引用文献1に記載されたのと同様の透明スクリーン用途において、活性エネルギー線硬化性樹脂が、光散乱粒子を分散含有する樹脂の種類のひとつとして、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などとともに知られていることを示すことにとどまる。そうすると、技術常識1及び周知技術1を考慮しても、引用文献1段落[0010]の記載を主な手掛かりとして、引用発明のバインダ樹脂を活性エネルギー線硬化性樹脂とすることが、引用文献1に記載されているに等しいか、実質的に記載されている事項であるとまでいうことはできない

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