識別力が否定された事例NO28

「かまくら牛」の文字を標準文字で表して成り、第29類「牛肉等」、及び、第35類「食肉及び牛肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供等」を指定商品役務とする本件商標の識別力が否定された事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10117号 審決取消請求事件)。「かまくら」との文字は、「雪で作った半球形の室」よりも「神奈川県鎌倉市」との観念が生じるとして、識別力が否定されました。

(要旨)本願商標の構成中、「かまくら」の文字部分からは、「かまくら」との称呼と、「雪で作った半球形の室」又は「神奈川県鎌倉市」との観念が生じ、「牛」の文字部分からは、「うし」又は「ぎゅう」との称呼と、「ウシ目(偶蹄類)ウシ科の一群の哺乳類の総称」又は「うし。うしの肉」との観念が生ずる。そして、① 「神奈川県鎌倉市」との意味を有する漢字表記の「鎌倉」の語と食品の一般的な名称を結合して成る標章を使用する商品は多数存在し、「神奈川県鎌倉市」との意味を有する平仮名表記の「かまくら」の語と食品の一般的な名称を結合させて成る標章を使用する商品も相当数存在すること、② 遅くとも平成17年頃以降、地域の特徴的な商品や役務に地域名を付加し一体的な名称とすることによって、「地域ブランド」を構築し、商品や役務ひいては地域自体の価値の向上、他地域との差別化を図ろうとする取組が進められ、牛肉については、産地である地域名と「牛」の語を結合させて成る標章が、全国的かつ一般的に使用されていることは、前記⑶のとおりであり、かかる本願商標の構成文字の語義並びにその指定商品の取引の実情に照らすと、本願商標の構成中、「かまくら」の文字部分からは「雪で作った半球形の室」との、「牛」の文字部分からは「ウシ目(偶蹄類)ウシ科の一群の哺乳類の総称」との観念も生ずることや(もっとも、「雪で作った半球形の室」との意味を有する「かまくら」の語と、「牛」の語の観念上のつながりは希薄である。)、「雪で作った半球型の室」との意味を有する平仮名表記の「かまくら」の語と食品の一般的な名称を結合させて成る標章を使用する商品が相当数存在することを考慮しても、本願商標「かまくら牛」は、本件審決時(令和7年10月15日)において、これがその指定商品又は指定役務に使用された場合に、取引者や需要者によって、「産地を神奈川県鎌倉市とする牛肉」程度の意味合いで、商品(取扱商品)の産地、品質その他の特徴、又は、役務の質、提供の用に供する物その他の特徴を表示記述するものとして一般に認識されるものであったと認められる。そうすると、本願商標は、その商品の産地、品質その他の特徴を普通に用いられる方法で表示記述する標章のみから成るものであって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品役務の識別力を欠き、商標としての機能を果し得ないものというべきである。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です