虚偽事実告知流布行為

不正競争防止法2条1項21号は、競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為を、不正競争行為として禁止しています。この告知とは、特定の人に個別的に伝達する行為であって、自己の知的財産権を侵害している旨を当事者に告知する行為が含まれないとした事例を紹介します(令和7年(ワ)第1734号 債務不存在確認等請求事件)。SNSにより知的財産権を侵害した投稿が多いですが、安易に侵害である旨を流布せずに、侵害行為と侵害内容について専門家に相談した上で判断してください。

(要旨)原告作品と被告作品とを対比すると(具体的な対比は、別紙対比表記載の番号欄にある「原告作品」と「被告作品」を対比する。)、次のとおり、いずれも原告作品と被告作品は創作的な表現部分において共通し、原告作品に接した者は被告作品の表現上の本質的特徴を直接感得することができ、原告aは被告作品に依拠して(原告 a は被告との交渉においてこれを認めていた上、原告作品と被告作品の類似の点数、後記の文章の相違点の内容(特定の語句を類似の語句への言い換えたにすぎない改変等であること)からも、依拠は優に認定できる。)原告作品を作成したから、原告作品は被告作品を翻案したものと認められる。…そして、各欄の「原告作品」には、対応する「被告作品」にはない写真が配置され、筆文字が使用されている点において同作品と相違し、記載8の原告作品には「努力」との表現の前に「コツコツと積み重ねた」との表現が付加されており、記載16の各作品は縦書きか横書きかという点において相違するが、原告作品における文章部分の配置や構成からすると、表現の中心部分はいずれも文章であって、筆文字であることや猫の写真等の上記付加部分は、文章の内容と相関がなく、文章に付加された語句も、それ自体が独立して創作性のある表現であるとは言い難いことを踏まえると、 各欄の「原告作品」に接する者は、これに対応する「被告作品」の表現上の本質的な特徴を直接感得できるというべきである。

なお、不競法2条1項21号にいう「告知」とは、自己の関知する事実を特定の人に対し個別的に伝達する行為であるところ、上記によれば、被告が上記内容を個別的に伝達した相手は原告aであり、交渉の窓口となったP社は、被告の使者であって、上記にいう「告知」の相手方ではないと解される。また、被告がP社から出版した書籍中の作品に係る著作権の侵害を発見し、これをP社に告知したという経緯(弁論の全趣旨)からすると、P社がこの事実及び関連事実を知るのはむしろ正当であって、この観点からも不正競争に当たらないというべきである。

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