識別力が否定された事例NO31

「相続ワンストップ」の文字を標準文字で表して成り、第45類「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成及びそれらの手続の代理、相続手続に関する情報の提供及びコンサルティング、遺言の執行、遺言書の管理、相続財産に関する調査、個人のニーズに合わせて手配や情報提供などを行うコンシェルジュの役務」を指定役務とする本件商標の識別力が否定された事例を紹介します(令和8年(行ケ)第10020号 審決取消請求事件)。「相続ワンストップ」との文字は、「様々な相続関連業務を一か所で行うことができる」という役務の質を指すとして、識別力が否定されました。

(要旨)本願商標の構成中、「相続」の文字部分からは、「死亡した人(被相続人)の財産に属した一切の権利義務を一定の親族(相続人)が包括的に承継すること。」との観念が生じ、「ワンストップ」の文字部分からは、「一か所。また、複数のことを一か所ですませられること。」、又は「複数の買い物や用件が一か所で済ませられること。」との観念が生ずることは、前記⑵アのとおりであり、遅くとも本件審決時において、行政書士を含む様々な士業や、これらの士業と連携した事業者により、「相続ワンストップサービス」、「相続ワンストップ体制」、「相続ワンストップ対応」、「相続ワンストップ窓口」、「相続ワンストップ相談」、「ワンストップ相続」などと称して、書類の作成を含む様々な相続関連業務を一か所で請け負い、サポートする役務が提供されていたことは、前記⑵イのとおりであって、かかる本願商標中の構成文字の語義及び本願指定役務に係る取引の実情に照らすと、本願商標「相続ワンストップ」は、本件審決時において、これが本願指定役務に使用された場合に、本願指定役務の需要者(一般の消費者)によって、「様々な相続関連業務を一か所で行うことができる」程度の意味合いで、役務の質を表示記述するものとして一般に認識されるものであったと認められる。そうすると、本願商標は、本願指定役務との関係において、役務の質を普通に用いられる方法で表示記述する標章のみからなるものであって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものというべきである。

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