サポート要件

サポート要件違反とは、特許請求の範囲(クレーム)が明細書の「発明の詳細な説明」に記載された内容の範囲を超えており、十分に裏付けられていないために特許法36条6項1号に違反すると判断される状態です。これは、クレームに記載された発明が明細書に記載された内容に基づいて当業者が課題解決できる範囲に収まっている必要があります。今回は、サポート要件違反が争点の一つとなった事例を紹介します(令和8年(行ケ)第10029号 審決取消請求事件)。数値限定する際、厳密にその数値での具体的確認をしなくても課題を解決できると認定されました。

(要旨)「内表面積の30%に相当する金型表面に凹凸を備える」場合についての具体的確認はされていないから、課題が解決できるか否かが不明であると主張する。しかし、本件明細書の実施例の記載によれば、食器内面全面に当たる金型箇所にしぼ加工を施した金型を用いて成形した樹脂製の椀型食器において、優れた耐傷つき性が確認されている(前記1⑺)。そして、本件各発明の特許請求の範囲及び本件明細書によれば、本件各発明の樹脂製食器における皮しぼ又は梨地と呼ばれる凹凸は、樹脂製食器を積み重ねた際に上方の樹脂製食器の糸尻が直接接触する部位を含む内表面積の30%以上に設けられるものであり、これは、耐傷つき性を高めるためには、皮しぼ又は梨地と呼ばれる凹凸を内表面のほぼ全面に施すのが好ましいとしつつも(【0016】)、食器を積み重ねるときには食器底部の内表面は上方の食器の糸尻と当接して傷がつきやすいことから、樹脂製食器の内表面の一部にしぼ加工を施す場合には食器底部を中心に施すのが効果的であることによるものとされている(【0017】)。そうすると、「内表面積の30%以上」との数値範囲は、一つの目安として、糸尻が直接接触する部位を含む内表面積の30%という数値が設定されたものにすぎないと解されるから、実施例1において「内表面積の30%に相当する金型表面に凹凸を備える」場合についての具体的確認がされていないからといって、本件各発明の課題(前記1⑶)が解決できることを認識できないとは認められない。

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