パブリシティー権
パブリシティ権の侵害行為には、実演家の声を無断で使用する行為も含まれます。今回は、パブリシティ権を侵害したアカウントの削除がデータの削除に当たるか否かが争われた事例を紹介します(令和7年(ワ)第70635号 投稿記事削除請求事件)。SNSサービス提供者が定めるサイトの利用ポリシーに照らして、アカウントの削除によって投稿記事が削除されたと認定されました。
(要旨)パブリシティ権に基づく削除請求の可否(争点2)に関し、人の声は、人の肖像と同様に個人の人格の象徴であるということができるところ、例えば実演家の声等を無断で使用する行為は、その声が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有するといえる場合であって、その声を使用する行為が専らその声の有する顧客吸引力の利用を目的とするものといえるときは、パブリシティ権の侵害に当たると解するのが相当であるといえる。もっとも、本件においては、削除請求の対象である本件各記事が既に削除されたか(争点3)が問題となっていることから、まず、この点について検討する。前記前提事実⑶及び証拠(乙7ないし9)によれば、本件投稿者が令和8年5月29日に本件アカウントを削除し、30日以内にアカウントの復旧申請をしなかったことから、本件各記事を含む本件アカウントのデータは、同年6月28日の経過をもって被告のサーバから削除されたことが認められる。これに対し、原告は、インターネット上のサービスで公表されているデータ保持期間と実際のデータ保持期間が異なることは頻繁にあるから、本件アカウントが削除されたからといって、本件各記事のデータが削除されたかは分からないと主張し、ユーザーが削除したデータが長期にわたって残存していたとする報道等(甲30ないし40)を指摘する。しかしながら、本件各記事のデータが同日の経過をもって被告のサーバから削除されたことは、被告の内部規則及び被告が公表している本件サイトの利用ポリシー(乙5、6、8、10)とも整合するものであり、原告が指摘する報道等はいずれも本件アカウントの削除手続に直接関連するものではないから、前記認定を左右するものではない。

