阻害要因

阻害要因とは、先行技術から当業者が容易に発明へ到達する論理付けを妨げる要因のことを言います。今回は、阻害要因が争点の一つとなった事例を紹介します(令和8年(ネ)第10010号 特許権侵害差止等請求本訴、不正競争行為差止等請求反訴控訴事件)。主引例に副引例や周知技術を組み合わせる際、主引例の技術的意義を失わせるとして阻害要因が認められました。

(要旨)乙18発明は、折板建材Aに磁力で固定した留め具HのピンEを断熱材Bに貫通させ、当該ピンEの先端にカバーFが取り付けられることで、折板建材Aに断熱材Bを取り付けている。そして、当該構成は、接着加工といった専門的な工事や接着剤を用いることなく、現状の屋根や壁に直接手を加えることなく、断熱処理を施すことができるという技術的意義を有するものである(段落【0003】、【0006】)。そうすると、乙18発明において、その課題解決のために必須である上記構成を、「接着材、熱溶着、両面テープ」のいずれかに置き換えることは、乙18発明の技術的意義を失わせるものである。したがって、乙18発明に接した当業者において、上記の置換えをすることには阻害要因があるといえるから、相違点に係る本件訂正発明の構成は、乙18発明に周知技術又は乙28公報に記載された発明を適用することで容易に想到することができたものであるとは認められない。なお、一審被告らは、乙18発明には、接着剤によって断熱材を取り付ける構造が従来技術として開示されている(段落【0003】、【00】)旨主張する。しかし、仮に、当該記載部分により乙18発明を認定した場合であっても、「凹凸のある素材の凸部の裏面に対してのみ…取り付け」るに相当する構成が開示されているとは認められないから、乙発明に接した当業者において、相違点に係る本件訂正発明の構成に容易に想到することができたものであるとは認められない。いしゅしゅう

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