創作非容易性(意匠)

意匠法第3条第2項には、当業者が容易に創作できた意匠(創作容易)は登録を受けられない旨の規定があります。複数の公知意匠を組み合わせて本願意匠を容易に創作できるか否かが問題となります。携帯電話を指等をひっかけて保持する携帯情報端末保持具の意匠で、引用意匠として携帯端末保持具の公知意匠にマスク収容ケース等の公知意匠を組み合わせて拒絶査定を受けましたが、不服審判で登録審決が出た事件を紹介します。

簡単に言えば、マスク収容ケース等の公知意匠はプラスチック成形としての溶着方法に関するものであって、本願意匠のように装飾目的の溝や筋ではないと創作非容易性が認められました。

(審判官の認定)

「本願部分に形成された、4本の縦長のスリット溝は、延出部の正面側折り返し部分を貫通していないので、正面側と背面側の圧着に寄与しておらず、装飾目的により形成していると推認されるところ、携帯情報端末を保持する物品についてこのようなスリット溝を形成した形状等は、引用意匠1~引用意匠5には表されていない。
ちなみに、原査定において引用された引用意匠3及び引用意匠4は、溶着跡が施された物品が携帯情報端末を保持する物品ではなく、また、それらに表された溶着加工の溝や筋は、プラスチック成形としての溶着方法に関するものであって、本願部分のように専ら装飾目的のために形成された溝や筋であるとはいい難い。」

(本願意匠)

(引用意匠1)

(引用意匠4)

本願意匠
引用意匠1
引用意匠4

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です