識別力が肯定された事例NO11

今回も、拒絶査定不服審判で商標法第3条第1項第3号の識別力があるとして拒絶査定が覆された貴重な審決事例を紹介します。識別力がないという審決が多い中、「マンガボドゲ」はまとまりの良い造語であり、商標が請求人に係るブランド名であるして識別力が認められました。

・「マンガボドゲ」を標準文字とした商標として、第28類「遊園地用機械器具,ペット用おもちゃ,おもちゃ,人形,ボードゲーム,盤ゲーム,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具」を指定商品とした事例

本願商標は、「マンガボドゲ」の文字を標準文字で表してなるところ、構成各文字は、同書同大で全て片仮名からなり、全体として視覚上まとまり良い印象を与えるものである。また、本願商標は、その構成文字中の「マンガ」の文字は「絵を連ね、多くはせりふをそえて表現した物語。コミック。」を意味する既成の語であるが、「ボドゲ」の文字は、一部のウェブサイト等において「ボードゲーム」(盤上で駒などを動かして勝敗を競うゲーム。チェス・オセロ・バック‐ギャモンなど。(「広辞苑第七版」岩波書店))の略語として使用されていることがうかがえるものの、辞書等で定義された語ではなく、全体としては造語からなるものというのが相当である。さらに、本願商標の構成文字に相応する「マンガボドゲ」の称呼も冗長とはいえないものである。加えて、職権調査によっても、「マンガボドゲ」の使用の事実は請求人以外には発見できず、「マンガを題材としたボードゲーム」が多数販売されている事実も認められず、補正後指定商品の分野において、「〇〇を題材としたボードゲーム」が「〇〇ボドゲ」、あるいは「マンガを題材とした○○」が「マンガ〇〇」と称されて広く一般に使用されているとの事実も発見できない。そうすると、請求人提出の甲第1号証ないし甲第13号証によれば、「マンガボドゲ」は請求人に係るブランド名であり、インターネットでも多数ヒットする等の事実が認められることもあわせ考慮すれば、本願商標は、その補正後指定商品との関係において、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできず、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標に該当しないものというべきである。

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