技術常識の認定
技術常識の認定にあたり、出願日以前にその技術常識に関する文献が存在していることが必要となります。今回は、薬事承認が下りていない事と技術常識とは無関係であると判断された事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10054号 審決取消請求事件)。薬事承認とは関係なく、技術常識が存在することから特許無効と判断されています。
(要旨)原告は、本件優先日当時、DPPⅣ阻害薬が未だ2型糖尿病の治療薬として薬事承認を得ておらず、実際の治療にも使用されていなかったことを指摘し、使用可能との技術常識までは存在しなかったと主張する。しかしながら、薬事承認は、医薬品として製造販売することを承認する行政行為であり(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律14条参照)、これを受けなければ実際の治療には使用できないものであるが、このことと、当該医薬品が特定の疾病に対して治療効果を有するかに係る当業者の認識は別個の問題である。そして、上記(ア)の各事実からすれば、DPPⅣ阻害薬については、本件優先日当時において、当業者の間に、上記技術常識が存在していたと認められ、薬事承認の有無はこの点の判断を左右するものではな
い。

