商標類否判断事例NO27
「恋苺」の文字商標で第31類「いちご,いちごの種子,いちごの苗」を指定商品とする原告商標が、被告標章「あわ恋いちご」と非類似と判断された事例を紹介します(令和7年(ネ)第1750号 商標権侵害差止請求控訴事件)。被告標章は、「あわ恋」と「いちご」を組み合わせた結合商標であることから、「恋苺」と非類似である判断されました。
(要旨)被告標章が上記デザインのパッケージに付されることによって、「あわ」の文字部分から地名である「阿波」が想起されるとしても、上記デザインのパッケージがいちごを同梱商品とする被告各商品のパッケージとして使用されているという取引の実情の下においては、被告標章は、「あわ恋」と「いちご」を組み合わせた結合商標であることを前提に、「あわ恋」の「あわ」の文字部分に被告各商品の産地である地名の「阿波」を掛けていると理解されるにすぎないと考えられることになるから、被告標章と本件商標の類否を判断するに当たっては、被告標章を「あわ」と「恋いちご」に分離して観察することは許されないというべきである。したがって、被告標章の冒頭に付された「あわ」の文字部分は出所識別機能を有さず、「恋いちご」の文字部分が出所識別機能を担う要部になるとして、被告標章の構成中の「恋いちご」の文字部分を抽出し、この部分だけを本件商標と比較して商標そのものの類否を判断しようとする被控訴人の主張は採用することができないというべきである。そこで以上を踏まえて本件商標と被告標章の類否を判断すると、本件商標は、漢字を縦書きしているのに対し、被告標章は「恋」以外を平仮名で表記し、やや丸みのあるPOP体風書体の文字を等間隔にやや円弧状に1行かつ一連で横書きしたものであって外観において明らかに異なり、また本件商標は「コイイチゴ」の称呼を生ずるのに対し、被告標章は「アワコイイチゴ」の称呼を生ずるものであって重なる部分はあるものの、文字数が異なり称呼が類似しているとはいえない。そして、いずれも果実の名称であるいちごに、本来、味覚を表現しない心理、感情状態の語を組み合わせて、当該果実の味覚を表現するという手法で造られた言葉であるが、「恋」と「淡い恋」で違う観念が想起されるから、これといちごを組み合わせることで生ずる観念も類似するとはいえず、したがって、本件商標と被告標章は全体として類似するということはできない。

