具体的態様の明示義務
特許法第104条の2には、「特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、特許権者又は専用実施権者が侵害の行為を組成したものとして主張する物又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。」と規定されています。つまり、被告には、被告製品が侵害していない具体的態様の明示義務があります。今回は、そもそも「自己の行為」自体が特定されていないとして、具体的態様の明示義務がないと判断された事例を紹介します(令和 6 年(ワ)第 70129 号 特許権侵害行為差止等請求事件)。
(要旨)原告は、被告の具体的態様の明示義務(法 104 条の 2)を指摘する。しかし、被告は、箱型船である被告各製品の製造販売を否認すると共に、被告各製品に対する被告の関与も不明であるとして否認ないし争っているところ、被告による被告各製品の製造販売や関与を裏付ける証拠は甲8 陳述書しかなく、これを認めるに足りる客観的な証拠はない。このような状況においては、上記明示義務により被告が具体的態様を明らかにすべきとされる「自己の行為」自体が特定されているとはいえない。そうである以上、この点に関する原告の主張は採用できない。

